第67話 苦戦
落葉
「ゴホン……。すまないね、話が
想夜
「……」
落葉
「君の使っていたぬいぐるみをたくさん出して相手を襲わせる攻撃だけど……その攻撃はもう、自遊くんには、通用しないよ……。その事くらいは、分かっているんじゃないかな?」
想夜
「……」
落葉
「無数のぬいぐるみを出しても、どのくらいの威力の攻撃をしたら破壊できるか、自遊は理解して、対処できる……。君が近距離戦に持ち込んでも、自遊の銃の的にしかならない……。これはおそらくだが、ぬいぐるみを複数出す技とぬいぐるみを武器にする技。両方同時にはできないんじゃないかい?」
想夜
「……」
落葉
「もしも、それができるのならすでにやっているんじゃないかな? 君の動きは素早いし、腕力だけなら自遊くんより上のようだからね……。遠距離攻撃を仕掛けつつ、隙ができたら斬り込んでいたんじゃないかな」
この着物姿の男性の予想は大体当たっている。『熊丸流星群』を使っている最中、本体の熊丸を武器の姿に変える事はできない。
落葉
「どうだい? 僕の予想は当たっているかな?」
想夜
「さぁ? どうでしょうか」
落葉
「そんな強がりを言わないでいいよ……。見てればそれくらいは分かるさ……」
想夜
「……」
落葉
「いい加減意地を張っていないで、美雪ちゃんをこちらに引き渡してほしいんだけどね……。君が大人しく美雪ちゃんを引き渡せば……これ以上、こっちからは何もしないって約束しよう……」
想夜
「はぁ……。何度同じ事を言ったら気が済むんですか……。美雪お姉さんは渡さない」
落葉
「このまま死ぬ事になってもかい?」
想夜
「勝手に決めつけないでくださいよ。僕は大切な人を護る為なら、どんな相手だろうと立ち向かいますよ」
自遊
「……」
栗色の髪の男性が白いアサルトライフの銃口を向ける。
想夜
「『熊丸流星群』っ!!」
僕は再び熊丸の分身を無数に出すっ!! そして熊丸の分身達が栗色の髪の男性に向けて飛ばすっ!!
自遊
「何度やっても同じ事だっ!! 『空翼・風刃乱』っ!!」
彼は再び無数に風の刃を飛ばして熊丸の分身達を切り刻むっ!! だが、それは予想していたっ!! 僕は熊丸の分身達を盾にしながら彼に向かって突進するっ!!
自遊
「無数のぬいぐるみを盾にっ!?」
想夜
「ウラァッ!!」
僕は熊丸の本体を彼の真上に投げ付けるっ!! そして再び熊丸に分身を無数に出させるっ!!
自遊
「何度やっても同じ事だっ!! 風の刃で切り刻んでやるっ!!」
想夜
「ウラァッ!!」
彼が真上に気を取られた隙に突進するっ!! 彼の腹部に跳び膝蹴りを叩き込むっ!!
自遊
「ぐっ!?」
栗色の髪の男性が攻撃を受け怯むっ!!
自遊
「っ!? こ、このぉっ!!」
想夜
「この超至近距離なら避けられないよねっ!!」
僕は右手に流力を集め、圧縮させ、さらに流力を込めて、圧縮させるっ!! そして圧縮し、凝縮した流力の塊を作り出すっ!!
想夜
「これでも喰らえっ!! 『
流力の塊を彼に目掛けて放つっ!!
彼は咄嗟に白いアサルトライフで防御するが、威力を抑え切れず吹っ飛ぶっ!! 僕の攻撃を防御する為に使った白いアサルトライフは砕け散るっ!! 栗色の髪の男性はそのまま地面を転がるっ!!
自遊
「くっ!? な、なんで威力だっ!? 僕の『イェーガー』を壊すなんてっ!!」
栗色の髪の男性は素早く立ち上がりこっちに突進して来るっ!! 彼は懐からナイフを取り出すっ!!
自遊
「『
彼は体に風をまとい走る速度が加速するっ!! 僕は熊丸の分身達で攻撃を仕掛けるっ!!
だが、彼はそれを避けながら熊丸の分身達をナイフで切り裂き破壊していくっ!!
僕は熊丸の分身達を自分の前に集めてビームを一斉に発射させるっ!! 栗色の髪の男性はそれを素早く上に跳び避けるっ!!
自遊
「『空翼・風刃乱』っ!!」
彼は再び無数の風の刃を放ち熊丸の分身達を全て切り裂くっ!! そしてそのまま突進してくるっ!!
だが、こっちも迎え撃つ準備はしているっ!! 僕は右手に流力を集め、圧縮させ、さらに流力を込めて、圧縮させ凝縮した流力の塊をすでに作り出しているっ!!
想夜
「『流力砲』っ!!」
自遊
「『
僕の流力の塊を彼の風をまとったナイフが切り裂いたっ!?
想夜
「っ!?」
避けるかっ!? いや、彼の方が速いっ!! 避けられないっ!! 熊丸を刀の姿に変えて防御するのは間に合わないっ!! だったら真っ正面からぶつかるしかないっ!! 僕は流力を左手にまとわせるっ!!
想夜
「ウラァッ!!」
彼の風のまとったナイフを持つ手首に目掛けて殴り掛かるっ!! 彼は素早く後ろに跳び僕の拳を避けるっ!?
想夜
「っ!?」
栗色の髪の男性はそのまま僕の左手首を掴み左腕なナイフを突き刺すっ!!
想夜
「ぐっ!?」
自遊
「……」
美雪
「ぼっちゃまぁっ!?」
熊丸
「想夜様っ!?」
落葉
「おっと、美雪ちゃんは動かないでね」
彼は無表情のまま何度も僕の左腕にナイフを突き刺していくっ!?
想夜
「痛っ!?」
自遊
「……」
くそっ!! こっちは体全身に流力をかなり多く出してまとっているのにっ!! 栗色の髪の男性のナイフはその流力の防御を突破して左腕に突き刺さるっ!!
想夜
「くっ!? こ、このぉっ!! 『流力砲』っ!!」
僕は流力の塊を放つっ!! だが、彼は素早く後ろに跳んで距離を取り、僕の放った流力の塊を切り裂くっ!!
想夜
「くそ……」
自遊
「その左腕はもう使い物にならないな……」
想夜
「それはどうかな?」
僕は左腕に流力を集め、治癒力を高める。
自遊
「っ!?」
落葉
「驚いたね……。流力を集めて治癒力を高める技術かい? すごい早さで傷を治すね……。僕でもそんな早く治せないよ……。この流力量は下手したら『帝』と同等くらいあるんじゃないかな……」
治癒力を高めたおかげで傷口は徐々に治っていくが、完全に治すまでまだ時間がかかる……。完全に治るまで彼が待ってくれるとは限らない……。
猿太郎がいてくれたら助かるんだけどね……。最近、猿太郎は他者の傷まで治せるようになったから……。
想夜
「熊丸。お面を出して」
熊丸はお腹にジッパーを出して、お腹から鬼のお面を出す。熊丸はそのお面を僕に渡す。
熊丸
「どうぞ」
僕はそのお面をつける。僕の服装は白い光に包まれ、白いスーツに変化する。
自遊
「っ!? なんだそれはっ!?」
落葉
「っ!?」
ヴェールさん特製の変身スーツ。バスジャック犯と戦って以降、使ってなかったけどちゃんと機能する。
想夜
「熊丸。刀の姿になって」
熊丸
「了解」
熊丸は刀の姿になる。僕は刀の姿になった熊丸を握りしめる。
自遊
「衣装が変わったところで何も変わらないぞっ!!」
栗色の髪の男性は再び凄い速さで斬り掛かってくるっ!! 僕はその攻撃を刀で防ぎながら左腕を少しずつ治していくっ!!
時間を稼げっ!! 腕を治すまで時間を稼いでやるっ!!
想夜
「くっ!!」
自遊
「片手で何ができるっ!!」
確かに片腕の状態の僕の力だと、彼に力負けするっ!! 防ぐので精一杯だっ!! けど、今は時間を稼げばいいっ!! 彼の攻撃を防ぐ事だけ考えろっ!!
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