第37話 護

 猿太郎のオナラを喰らった黒い龍は地面をのたうち回っているっ!!


想夜

「ぐぅ……臭いよぉ……。涙が出てくるぅ……。猿太郎……。お前……何を食べたら……そんなバチクソ臭いオナラ出せんだよぉ……」


 漂ってくるにおいで……頭が痛い、吐き気もする……。僕までのたうち回りそうだ……。


光二

「いつまで苦しんでんだよっ!? このまま畳み掛けるぞっ!!」


想夜

「あ、うんっ!!」


猿太郎

「やってやるでぇっ!!」


光二

「『メタル・ハンド』ッ!! 『二つの黒き機関銃ダブル・ブラックマシンガン』ッ!!」


猿太郎

「『破壊のお尻アース・オブ・ディストラクション』ッ!!」


想夜

「『黒爪・三日月』っ!!」


 光二は硬化した両拳で龍の右頬を連続で殴るっ!! 猿太郎は流力で強化した尻を龍の鼻に叩き付けるっ!! 僕は流力の首に目掛けて斬撃を叩き込むっ!!


黒い龍

「グウゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォッ!!」


 黒い龍はとぐろを巻き、高速で回転し、そのまま僕等に突進して来たっ!! 


 僕は光二と猿太郎の前に出て、龍の突進を刀で防ごうとするっ!!


想夜

「ぐっ!? ぐぅぅっ!!」


 龍の力が強いっ!! このままだと押し負けるっ!! その時、光二と猿太郎が僕を後ろから支えるっ!!


光二

「踏ん張れっ!!」


猿太郎

「ふんぬううううぅぅぅっ!!」


 僕等は龍の攻撃を防ごうとするっ!! だが、龍の力が強過ぎて3人まとめて吹っ飛ばされ、地面を転がるっ!!


想夜

「ぐぅっ!?」


光二

「がっ!?」


猿太郎

「ぬぅおぉうぅっ!?」


『想夜様っ!?』


想夜

「大丈夫っ!! 大した事ないっ!!」


 僕は素早く立ち上がり、龍を睨みながら刀を構えるっ!! 光二と猿太郎も立ち上がり、拳を構えるっ!!


 龍が強い……。それに僕等の攻撃もあまり効いてない……。僕達と龍との力の差があり過ぎる……。


 あの龍の攻撃……刀になった熊丸で防いでなかったら、吹っ飛ばされるだけでは済まなかったと思う……。


想夜

「……」


 太一達は両足がガタガタしてしまい、逃げられない……。マトモに動けるのは、僕達だけだ……。


 太一達に攻撃がいかないようにあの龍と戦い続けるのも難しい……。このままだとジリ貧だ……。こっちの体力がバテる方が早い……。

 

想夜

「光二、猿太郎……。頼みがある……。僕があの龍を抑え込む……。だから2人は太一達を連れて、下山してくれ……」


光二

「っ!? 何言ってんだっ!? お前っ!! 俺達にお前を1人置いてっ!! 逃げろって言うのかっ!?」


猿太郎

「俺達はなぁっ!! お前と並び立ちたくてっ!! お前と共に戦う為に俺達は強くなったんやっ!! せやのにっ!! お前を置いて行くなんてっ!! そないな事できるわけないやろうっ!!」


想夜

「……あの龍は強い……。真っ向から戦っても、勝てるかどうかも分からない……。そんな龍を相手に、太一達を護りながらじゃ……勝ち目は無い……」


光二

「……」


猿太郎

「……」


想夜

「それに太一達は震えている……。今の状態じゃ自力じゃ逃げられない……。3人を担いで逃げても、あの龍からは逃げ切れないと思う……。だから誰かが食い止めなきゃならない……」


光二

「だったら俺が残るっ!! 俺の『メタル・ハンド』は防御力は高いっ!! 俺の方が適任だっ!!」


猿太郎

「せやったら俺が残るわっ!! 俺の『チェリーボーイ』なら、どないな傷を負ったとてすぐに治るさかいっ!! 俺の方が適任やっ!!」


想夜

「……だからだよ……。太一達を護りながら下山する事を考えたら……防御力の高い光二と治癒力の高い猿太郎が適任だと思う……」


光二

「駄目だっ!! 俺達はお前は置いて行けないっ!! お前1人に何もかも背負わせるのはもう嫌なんだっ!! 俺達はそんな自分が嫌でっ!! お前と一緒にいたくてっ!! だから強くなってそばにいるって決めたんだっ!! それなのにお前を置いてなんて行けないっ!!」


猿太郎

「そうやでぇっ!! 想夜っ!!」


想夜

「信用しているから2人に頼むんだ。僕と共に歩んでくれたら2人だから頼むんだ」


光二

「……」


猿太郎

「……想夜……」


 僕は龍を睨む。あの巨体に強い力……。僕等の攻撃に耐える防御力……。口から吐く紫色の煙はマトモに当たったらおそらく即死……。


 怖い……。死にたくない……。今すぐにでも逃げ出したい……。


 しかし、逃げるわけにはいかない……。今、みんなで逃げても……逃げ切れない……。


想夜

「……」


 勝てなくても、負けると分かっていても……それでも、この手の届く範囲の人達を護りたい……。


想夜

「光二、猿太郎……」


 僕は刀になった熊丸に流力を注ぎ込む。


想夜

「太一達を頼むよ……」


 僕は黒い龍に向かって走り出すっ!!


想夜

「おおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!」


黒い龍

「グウゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」


 黒い龍は僕に目掛けて口から紫色の煙を吐き出すっ!!


想夜

「ウラアアァァァァッ!!」


 僕は刀を振って煙を吹き飛ばし真っ直ぐ突進するっ!! 龍に向かって走りながらも刀に流力を注ぎ込むっ!! そのまま黒い龍に接近するっ!! 


想夜

「『黒爪・三日月』っ!!」


 刀身に流力をまとった状態で黒い龍に斬り掛かるっ!! 僕の刃は龍の右眼を斬り裂くっ!!


黒い龍

「グウゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォッ!?!?」


 右眼を傷つけらた黒い龍は叫びを上げながら右手を振り上げ、僕に目掛けて爪を振り下ろすっ!!


想夜

「『黒爪こくそう夜光明月ノ護やこうめいげつのご』っ!!」


 流力の刃を円形状に出して黒い龍の攻撃を防ぐっ!! だが僕の防御はすぐにヒビが入るっ!!


想夜

「僕の防御技でも防げないかっ!!」


 僕の防御の技はすぐに砕かれるっ!!


 後ろには光二達がいるっ!! 後ろに退がったらまずいっ!! 僕が退がった瞬間に龍が攻撃されたら光二達を巻き込むかもしれないっ!! だから退がるワケにはいかないっ!! 僕はそのまま前に出るっ!!


想夜

「おおおおおぉぉぉぉっ!!」


 龍に接近して斬り掛かるっ!! 龍は僕の刃を爪で防ぐっ!!

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