第16話 共闘
「裕司君はコイツが召喚するゴブリン達の相手をお願い。その間に私はでかいやつを倒す。大丈夫?できそう?」
「はい。指示通り、召喚されてくるゴブリン達は俺が対処するので、由香さんは気にせずにアイツの相手をお願いします。」
由香さんと役割分担をし、お互いが持ち場につくと、それまでどでかいゴブリンを守る姿勢をとっていたゴブリン達の様子が変わり、連携をとって俺と由佳さんへ二手に分かれて襲いかかってきた。
「させねえぞ!」
自分に襲いかかってきたゴブリンを一瞬で蹴散らした後、俺は剣に魔力を大量に流して大剣のように大きくすると、ゴブリン達を叩き潰した。
「「「「ギイェッ」」」」
ゴブリン達の断末魔と共に、ブチュッと音がすると、ゴブリン達は一瞬で煙になった。
しかし、その場に出ていたゴブリンを倒したはいいものの、すぐに追加のゴブリンが6匹ほど召喚され、今度は全員俺の方へ向かってきた。
「都合がいいな。一度に叩き潰してあの世送りにしてやる。」
俺が大剣を振れば、ゴブリン達はまとめて煙となり、そうするとゴブリンが追加投入される。それを2、3回繰り返すと、ゴブリンが出てこなくなった。
どうやらどでかいゴブリンの意識が完全に由香さんに向いているようで、さらには魔力切れを起こしているようだ。
これを機と見た俺は、由香さんを手伝うべく、後ろから不意打ちをした。
「ゴ、ガァ」
俺の攻撃がクリーンヒットしたようで、追撃する前に相手は煙となり、その場に箱のようなものを残して霧散した。
「裕司君、最後のありがとうね。おかげで怪我をせずに済んだわ。お礼にキスしてあげる。」
「ちょ、冗談でもそう言うこと言わないでくださいよ。勘違いしちゃうじゃないすか。」
慌ててキスを断ったが、由香さんは意味ありげな笑みを浮かべた。
「ふふ、勘違いじゃないかもね。」
一体何が勘違いじゃないと言うのだろうか。もしやと思ったが、すぐにその考えを頭から振り払った。
「ささ、アイツが落とした箱がなんなのか確認してみましょうよ。もしかしたら宝箱かもですよ。」
苦し紛れに話を逸らして、俺は早速謎の箱を開けることにした。
箱は、鍵とかを使わずにすんなりと開けることができた。しかし、その中には何もなく、闇が広がっていた。
「何も入っていないのか?期待はずれだな。すごいアイテムの一つや二つ、入っててもおかしくないのに。」
がっかりして、次に行こうと思ったが、由香さんがこんなことを言い出した。
「見えてないだけで何か入ってるかもしれないわね。手を突っ込んでみたら、あったりしないかしら。」
そんなことないだろうと思ったが、宝箱のような箱に何も入っていないと考えるのは違うだろう。何かあるといいなと思いつつ、手を突っ込んでみると、何か、布のような感触がした。
思い切ってそれを掴み、引っ張って取り出してみると、想像よりもそれは大きく、俺の周囲を覆い尽くした。
「おわっ、なんだこれ。」
よくよく見ると、フードのようなものがついており、マントとして使えそうなので羽織ることにした。
「みんな、ちょっと時間もかかったけど、クリアできたわ。少し休憩したら、次に向かうわよ。」
あれ?由香さんが誰かに話しかけてる。他に誰かいたっけ?と思いつつ、周りを見回すと大和さんを見て配信のことを思い出した。
「やっべ、忘れてた。(小声)」
:おい聞こえてんぞ
:反応しねえなと思ったら忘れてたんかい
「すまんすまん。まあでも、今思い出したんだから、ギリギリセーフだよな?」
:どこがだよ
:全然アウトです
「えー、まあ、いいや。モンスター倒して宝箱の中身も見たから、休憩した後次に行くぞ。ここからは文句は受け付けませーん。」
:強引すぎやろ
:逆に文句言えなくなってきた。
15分ほど休憩した後、俺たちは次のフロアへ向かった。
◆◇◆◇◆◇
あとがき
次回から更新時刻変更します。毎週木曜の0時に投稿します。
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