第10話 お前は何者だ?
「10フロア目、やっと、見つけた。」
俺は猫を探すためにダンジョンの奥に進んだが、第二フロアには居なかった。
それで、意を決して先のフロアへ進んでみたが、それでも猫はおらず、そこにいるはずのモンスターも、一匹残らず消えていた。
ここで俺は、猫が一匹でダンジョンを進んでいることを確信した。
第四、第五と進んだが、激しい戦闘が行われたような痕跡は残っておらず、ドロップしているはずの魔石も残っていなかった。
第六、第七では、前までとは様子が違い、戦闘の時に何があったのか定かではないが、地面や壁に何かが衝突したようなクレーターができており、やはり敵はいなかった。
第八、第九では、フロアにクレーターは出来ていなかったものの、激しい戦闘があったことは確かなようで、ポツポツと設置されていた筈の障害物は全てどこかへ消えており、謎の角笛のようなものが落ちていた。
「第十、やっと、見つけた。怪我は、していないか?」
第十に着いてすぐに猫の存在を認めた俺は、心配のあまり、猫に駆け寄って怪我の有無を確認した。
しかし、怪我は一切なく、猫も何してんだコイツ、とでも言いたげに見つめてきたが安否を確認できたのでヨシ!
「お前、こんな奥まで来て、一体、何が目的だったんだ?様子を見るに、ここで俺を待っていたみたいだが、これ以上先はもうないのか?お前は一体何者だ?」
矢継ぎ早に質問を投げかけたが、猫がそれを答えられるわけがなく、猫は困惑してしまった。
「ニ、ニャア」
「ああ、すまない。お前は答えられるわけないもんな。無理言ってすまん。」
興奮してしまって、つい質問攻めにしてしまった。気をつけなければ。
「お前にな、ご飯を買ってきたんだ。ほら、最初のフロアに戻って、ご飯を食べようぜ?」
「ニャ!」
ご飯という言葉に反応したようで、猫は急にご機嫌になった。
猫に、あのフロアから出ないよう言い聞かせながら、しばらく歩くと、目的地に着いた。
「ほれ、キングサイズだぞ。いっぱい食え」
「ニャ?」
目の前に餌を置いてこれが餌だと指したが、キャットフードを食べ物と認識しない。
目の前で食べる真似をしてみても、匂いを嗅いだだけで全く食べようとしない。
腹が減っていないのか?だが、昨日召喚してから、まだ何も与えていない。腹が減っていない道理はない筈だ。
「なあ、どうして食べないんだ?腹が減っていないのか?美味しいぞ、これ。」
クワッと欠伸をしたと思ったら、どこから取り出したのか魔石を尻尾で器用に持って、猫はそれを口の中に放り込んだ。
ゴリゴリゴリゴリ、ゴクン
猫は、魔石を噛み砕き、飲み込んだ。すると、猫は満足したようで寝てしまった。
「魔石が主食なのか?それなら、キャットフードを全く食べようとしなかったのも納得だな。」
道中で魔石がなかったのも、これが原因だろう。
アイテムボックスか何かを持っているのだろうか。さっきの魔石も、どこからともなく現れたので、その可能性が高い。
「そうだ、名前募集してたんだ。どんなのが集まってるかな。」
配信用のDwitterアカウントの呟きの返信を見ると、こんなのが集まっていた。
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ちょむすけ
みーちゃん
ネコ五郎
ナイト君
ネコの介
ティーダ
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この中で評価が高い順に並び替えると、
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ティーダ ♡50
ナイト君 ♡24
ネコの介 ♡5
ちょむすけ ♡3
みーちゃん ♡1
ネコ五郎 ♡0
///
だった。ティーダの評価高すぎだろ!
まあ、どうしてこうなったかはなんとなく分かってはいるが、納得はしていない。
俺はホモじゃないからな。
「くっ、ティーダにするしかないか。名前としてみれば、結構いいし、それ以外にしたら何言われるかわからん。」
俺はここで思考を放棄し、現実逃避するためにティーダに抱きついてもふもふを楽しんだ。
◆◇◆◇◆◇
ティーダのもふもふ気持ち良すぎだろ!!
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