第3話 起こった、奇跡

「おい、美優。今日の掃除当番代われ。」

「昨日も私やったんだけど。」

「約束を忘れたのか。これは命令だ!」

「うっ。分かったわよ。。。。」

美優はしぶしぶうなずくとほうきを持って床をき始める。

「ココ、テメエここで飯食ってろ。」

僕、ココは床に置かれて目の前にピーマンを置いた。

僕が苦手とされている食べ物じゃないか,,,,!

ちっ、やっぱ大嫌いだ。智樹は最低野郎だ。

智樹はそっぽを向いて美優の様子を見ている。

俺はすぐにでも逃げ出そうと力を入れる。でも、昼の間は封印されているため、どれだけ力を入れても逃げ出すことは出来ない。はずなんだが,,,,

スクッ

立っ、立てた!?な、な、なんで?

今までこんなことは,,,,,,,,,。

慌てて僕は座った。いや座れるんだけど。待てよ、智樹は僕のことを見ていない。ならば!

僕は床に落とされていたおもちゃのピーマンを智樹に投げつけた。

「いてっ。なんだよ、誰か蹴飛ばしたのか?_ったく。ついてねーぜ。」

ふん、いい気味だ。

★             ★                ★

夜になった。いつも通り歩き始める。わたをぱくぱく。ふっかーつ!

にしても、不思議な日だったなあ。

僕の前にいるぬいぐるみ達を見つめる。

この子たちも、動くことができる,,,,のか?

動く、いや、動かせるなら。僕が、この子たちを動かすことができるなら。あの嫌な智樹のような人間を、見返せるのなら。

そして、ぬいぐるみ達で一緒に過ごせるのなら。

頑張って動かす価値はある。

それなら、頑張ろう。時間はかかるかもしれないけれど、この子たちを、動かせるようにしてやろう!!!

★               ★               ★

朝。智樹は美優に起こされた。

「おはよう、ココ♡」

「おはっ!?」

こ、声が出せた!!!なぜ!?

「え?誰の声?」

美優がキョロキョロしている。

美優も、僕のことを話せば、力になってくれるのかな。

もしかしたら、なれるかも。友達に。

智樹はいない。話す価値は、ある?かも?

こんな優しい、かわいい子なら。

力になってくれるのかもしれない。

明日、明日今までのことを話そう。

美優、お願い。力になって。

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