第2話 怪雲

作戦室に入るとベース398の航空隊員で満員だった。

入るや否や、騒がしすぎてまともに会話ができなかった。

しばらくすると、早歩きで司令官が入ってきた。


「はい静かに!これよりブリーフィングを行う、先程13:00我が領海内で反国連艦隊発見と報告があった、現在ベース288からFGR15偵察戦闘機が4機離陸、こちら398からもFGR援護の為FG15一個小隊の出撃要請が出た。そこで15:00にて先遣隊として第125戦闘飛行隊の出撃を命ずる、ユーマ中尉!」


「はっ!直ちに出撃準備に取り掛かります!しかしこちらはアキ、オサム、ソラ、三名の新人がいます。この三人はどうすれば宜しいでしょうか!」


基地司令の手が止まる、鋭く、今にでも怒り爆発しそうな視線がユーマ隊長に突き刺さった。


「それがどうした」


「実戦はまだ…」


少し弱々しく返した、今まで弱々しいユーマ隊長をアキ達は見たことがなかった為に、後の事を考えてしまい、より一層息苦しくなった。


「──君は…その子たちの事を甘やかすつもりかな?」


「いえ…しっ…しかし…」


「いいか!ここは軍隊だ!学校じゃない!出撃要請が出れば出るんだ!ーーところで君たち新人くんたちに聞きたい、いまから行く作戦は怖いかね?」


あまりの緊張感に一同言葉が出ない、しばらく無の時間が過ぎた頃、アキが声を出した。


「正直、怖いです。ですが俺たち三人は7年前の戦争で。大切な人を無くしました。この先同じ思いになる人が出てくるのなら、責務を全うします。」


アキは声を震わせながら言い切った。


「アキくん…」


「自分も、そう思います!」


オサムがガタッ!っと立ち上がった、それにつられてソラも立ち上がった。


「よろしい!では第125戦闘飛行隊に出撃を命ずる!くれぐれも怪我のないようにな」


「よし!お前ら行くぞ!」


隊長の声かけで、一同駆け足でハンガーへ向かう、アキが青空を見ながら言った。


「今日の天気も最悪だ」

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