第34話 扇動の天魔
天魔の力を推測していると、巨木の後ろから謎の声が呼びかける。
「ゲーツ、あんたが馬鹿みたいに戦っている間に、私はすでにソロモン学園のゴミどもを操ったわよ!」
俺は耳障りな呼び声を聞いて、少し頭を出して辺りを見る。
すると巨木の前に立ったニヘルがソロモン学園の生徒達を操りながらやってきた。
しかもよく見たらリザも洗脳されているじゃないか。
クソ! あの野郎、俺とゲーツが戦っている間に裏に回り込み、何かしらの方法でリザ達を洗脳させたんだ!
エステルが大丈夫なのか心配だが、銃で武装したソロモン学園の生徒達が一斉に構えているから、これ以上頭を出せば顔面がハチの巣状態になる事間違いなしだ。
俺は最悪の未来を思い浮かべながら、どうやって催眠を解かせる方法を考える。
すると奥から人がやってきながら言う。
「辺りを探しましたが、
謎の人物はそう言いながらニヘルの隣に並ぶが、俺はその姿を見て凝視する。
謎の人物の姿は異質で、両腕の肘にはドクロがあり、顔は口以外っぺらぼうのように見える。
異質な人物にニヘルは驚きもせずに言う。
「マリオネッツ、本当に探したの? あなたの扇動の力を使えばサクッと見つけられるでしょ」
ニヘルは異質な人物……もといマリオネッツに文句を言うと、マリオネッツは少し呆れながら言う。
「ですから、私の権能【
「分かっているわよ。私を侮辱した奴を殺すために
「それならいいですが……まずは同胞殺しを戦闘不能にさせましょう」
マリオネッツはニヘルの言葉に頷きつつ、指先から糸を垂らして構える。
俺はマリオネッツの言動を思い出しながら考察する。
あいつは天魔の能力……もとい権能【
そのため操られた連中を使って拘束して効くまで洗脳させる。
もし洗脳を解除するなら目を閉じさせる、または相手の瞳を潰すんだろうな。
だけど目を閉じさせるのはスタングレネードで出来るが魔法で邪魔されたり、相手の瞳は口以外のっぺらぼうで見つけにくかったり、もう一度洗脳されたらたまったものではない。
今持っているスタングレネードは
かなり厄介な敵に対抗策を考えていると、ゲーツは龍滅剣を握って言う。
「あいつは洗脳している間は動けない。さっき使った発光のマジックアイテムを使って生徒達の洗脳を解除、そしてあいつが誰かが洗脳している間に君はニヘルと戦闘してほしい」
「分かったが、ゲーツはマリオネッツと戦うのか?」
「あぁ、
俺の疑問にゲーツはそう答え、俺は
それを見たニヘルは醜悪な笑みを浮かべて叫ぶ。
「あんたやっぱり馬鹿ね! 大量の人形共がいるのにどうやって勝つつもりよ!」
ニヘルはそう叫んで勝ち誇るが、逆にマリオネッツは冷静になりながら指先の糸を収集して叫ぶ。
「いや、何かしら嫌な予感がしますよ!」
「その通りだよ!」
マリオネッツの言葉に俺はそう返し、スタングレネードの安全ピンを引っこ抜き、洗脳された中心に向けて
マリオネッツは収集した糸をスタングレネードに向けて振り下ろそうとするが、ゲーツがマリオネッツの前に立って
ゲーツの妨害にマリオネッツは驚きながら叫ぶ。
「ナッ! あなた私の能力を恐れないのですか!?」
「悪いが、僕には洗脳などの精神攻撃の耐性があるんだ」
マリオネッツの苛立ちにゲーツはそう答え、ゲーツの背後にスタングレネードが爆発する。
強烈な音と閃光によって洗脳された一同はハッと我に返って言う。
「あ、あれ? 俺達なんでブービートラップエリアの近くにいるんだ?」
「アッ、ほんとだ」
「ていうかいきなり意識が失ったように感じたけど……」
洗脳された生徒達を見て、俺は解除することに成功したと喜ぶ。
だが逆にマリオネッツは苛立ちながら叫ぶ。
「なんてことをしてくれたんですか! また操らなければ……!」
「そうはさせない!」
マリオネッツの苛立ちにゲーツは止めようと、
『第三伝承解放。我が祖の栄光は財欲の邪龍を討伐し、民に平穏を与えた者はジークフリート。しかし親友の裏切りに復讐を誓った淑女の怨恨を纏おう』
「
ゲーツが詠唱し終えると四肢や顔に黒い炎を
マリオネッツは両手に魔力で固めた爪を構え、苛立ちながら叫ぶ。
「ちょっと姿を変えたからって、調子に乗らないでください!」
マリオネッツはそう言うと地面を蹴って接近し、ゲーツは黒い炎を
振り下ろすと黒い炎の斬撃を放たれ、マリオネッツは収集した糸を使って打ち消そうとする。
しかし黒い炎の斬撃で収集した糸を燃やし、マリオネッツは斬撃をもろに食らって叫ぶ。
「グァァァァァァァ!? バカな、私の糸は魔法を防げるほどの耐性があるはず……!」
「
マリオネッツの叫びにゲーツはそう説明し、マリオネッツは魔力で固めた爪で対抗し始める。
さて、ゲーツがマリオネッツの足止めしている間に、俺はニヘルと戦っていくか。
そう思いながら右手に風魔刀を、左手でトンプソンコンテンダーを構える。
ニヘルはうまくいかないことに苛立ちながら叫ぶ。
「あー、クソクソクソ! なんでいつもうまくいかないのよ!」
「そりゃそうだろ? お前みたいなゲスヤロウはうまくいったらおかしな事なんだよ」
俺はヒスっているニヘルを嘲笑いながら挑発する。
するとニヘルは瞬間湯沸かし器のようにブチ切れて叫ぶ。
「黙れ黙れ黙れ! 私は間違っていない、私の思い通りにならない時点で悪よ!」
ニヘルはそう叫ぶと、手をかざして詠唱する。
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