【大感謝40万pv】底辺配信者である俺の古参リスナーは大人気Vtuberでした。

むふ。

 序章 この世界に帰ってきた。

プロローグ 復帰配信

 ひょんな、きっかけだったと思う。

 あんまり栄えていないような配信サイトで試しにゲーム配信をしてみたら色んな人が見てくれて、コメントも多くはなかったけどコメント欄が動くたびどんなコメントが来たんだろうってワクワクしてた。

 やがて、本格的に配信がしたいと思った俺は親に頼み込んで部活とバイトの両立を約束した上でなんとか小遣いを溜めて配信機材を揃えた。

 でも、なんていうんだろうか。現実は理想とは程遠かった。

 本格的な配信サイトでは前のサイトと比べるもなく、はるかに多くの配信者が存在した。当然、フォロワーの少ない配信者はおすすめになんてほとんど出てこないし埋もれるばかりだった。

 俺もその一人だった。コメント欄は前に配信していた時より動かないし、配信視聴回数も二桁に乗れば万々歳なほど。毎回同じ人が配信に来てくれることなんてほとんどなかった。

 やがて、徐々にモチベーションというかやり甲斐を失って配信を休止した。部活がちょうど楽しくなってきたこともあったし、何より部活が終わってから配信をするとなるとどうしても深夜になってしまい、不眠のまま学校に行かなければならなくなり日常生活に支障をきたし始めていたのだ。

 そして高校一年の春先に初めてすぐに配信を辞めて丸一年が経過した頃、久しぶりに配信機材をいじり、また気まぐれで復帰してみた。


「ヤッホー、覚えてくれている人は久しぶり〜メメでーす」


『メメ』とは俺の本名、芽白めじろ明太めいたの頭文字をとってメメというもの。


『おひさ〜』

『なんか通知来たかと思えばメメ配信ktkr』

『なんで休止してたん?』


 二つほどコメントが流れて止まる。そうだったな、こんな感じで二、三個コメントが流れて止まったら後は気にせず適当に俺が駄弁ってたんだっけ。


「『なんで休止してたん?』か、これに関してはリアルでテストやら部活やらでバカみたいに忙しかったから配信の時間が取れなかったんだわ」


『なるほ』

『そういやメメ学生だもんね』

『寂しかったゾ』


「『寂しかった』か、そう言ってくれて嬉しいよ。…さーて今日も久しぶりに雑談やりますかぁ」


 ぐいっと背伸びをしてマイクに向かって語りかける俺。

 久しぶりにする配信は楽しかった。なんというか、例え少なくても誰かが自分を待っていてくれたと知るだけで心が温かくなった。

 そんな折の出来事だった。

 俺の目に、あるコメントが入ってきた。雑談を繰り広げる中で滅多に動かなかったコメント欄が動きを見せたこともありすぐに気付いた。


白星しらほし零天れいあ✔️:お帰りなさい!待ってました』


「へ?」


『ファッ!?』

『白星ちゃんもみてますと』

『!?』

『本物!?』


 コメント欄が一気に騒がしくなった。皆驚きを隠せていないらしかったが、俺も当然その一人だった。

 名前の横にチェックマークがついているということはフォロワー人数が一万人を超えている証拠。しかも、最近俺はこの名前を目にした記憶があった。

 白星零天。その名前を最近聞かないことはないほど、この広いネットワークの世界で有名な人物である彼女。

 ほんの一年前に有名事務所から排出されたVtuberで、その綺麗で周りを魅了する美声から一気にSNSでトレンド入りした超人とも言える配信者。

Vtuberとは、イラストレーターや絵師に依頼をしてキャラクターを描いてもらいそのキャラクターに中の人、魂と呼ばれる人間が声を吹き込む。それがVtuberだ。


「えーっと..なぜうちの配信に..?今日はゲーム配信とかでもないですけど…」


 動揺を隠せないまま問いかけてみるとコメント欄が一気に静まりを見せる。皆、彼女のコメントを待っているのだ。

 すると


『白星零天✔️:実はこのアカウントではないんですがずっと拝見させて頂いておりましたので、その名残…?でしょうか』


「ほへぇ..俺みたいな底辺配信者を続けてみてくれてる人もおるんやねぇ..しかもその人が大物配信者となると尚更感慨深いというか」


『くっそ冷静で草』

『こーれは賢者タイム』


 コメ欄と相対的に俺が冷静そうに見えてしまったのは驚きとか誇らしさとかそういったもの以前にじわじわと込み上げてくる喜びが心を満たしていたからだ。


『つまりメメの古参リスナーの一人がメメが休止している間に大物配信者になって帰ってきたってこと!?』

『これは激アツ』

『なんだよそれぇぇぇ羨ましすぎんだろおおおお』


 コメ欄も徐々に理解してきたようで先ほど同様に盛り上がりを見せていた。


(やっぱ配信楽しいな)


久しぶりに配信をして、いまだに自分を待ってくれている人もいて、その人たちの中に大物Vtuberまでいるときてしまったら楽しくないわけがない。

こうして、俺の配信者魂が再燃してきたのだ。


————————


お疲れ様です!脅威の3作目です笑描きたいジャンルは絞れているんですがその中で描きたいものが多すぎて困っちゃいます笑

面白い!続きが気になる!と思っていただけましたら⭐︎や♡、フォローコメントで応援気軽によろしくお願いします!

本編前にプロローグ的な話をいくつか更新していきますが長い目で見ていただけると光栄です!

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