第34話 朝風呂はしない!
「千鶴! 起きろーーーっ!!」
朝一から、舞白が叫んでいる。
……と思ったら、私の布団を剥いできた。
「……んー、さむーっ。……おはよう、舞白? まだ暗いけど、今日は早起きだね?」
「そうだよ、もう朝だよ!! 朝風呂タイムだよっ!」
「……はぁっ?」
「一緒にお風呂入ろう!」
「……いやいやいや。寝起きでいきなりなによ……?……っていうか舞白って、朝からお風呂入る派だっけ?」
「昨日、結局私とお風呂入ってないじゃん! だから、今日は入るのーーーっ!!」
朝のウトウトするような一時を邪魔されるの、嫌なんだけどな。布団を剥がされたままで、すごい寒いし……。
寝起きで頭が回らない中で、舞白がまだなにか騒いでいる。「早くお風呂に入らないと!」とか、「一緒に洗いっこするの!」とか
いつもは私が舞白起こす方だっていうのに、なんで今日に限って早起きなんだ、この子……?
付き合ってられないな……。
舞白から布団を奪って、かけ直す。
「学校から帰ってきたら、一緒に入ってあげるから。まだ寝かして……」
「んーーー、もうっ!!」
舞白から隠れるように布団を頭まで被って、とりあえず一眠りする。
いつも通りが一番なんだよ。低血糖な私にとっては……。
いつもの時間にご飯食べて、いつもの時間に準備をして、それで、学校行こうよねー。それが私は一番好きだなぁ……。
むにゃむにゃ……。
「もう、千鶴っ! 寝ないでよーーー!!」
◇
いつもの起きる時間になると、再び舞白に起こされた。
一回叩き起こされたから、ちょっと睡眠時間が少ない気がするな……。私って、寝起きがちょっと悪いし……。百二十パーセント、舞白のせいだな……。
そう思って舞白の方を見ると、舞白も私と同じ顔をしているようだった。半開きの目で、こちらを睨みつけて来た。
「……お姉ちゃん。成績上げなかったら、処刑だよ?」
「……はっ? 睡眠不足なんだけど?」
「……明日の朝起きなかったら、水掛けてやるから」
「……そんなことしたら、風呂に閉じ込めるぞ?」
「……うん。お姉ちゃんと一緒ならいいよ?」
「……?」
なんだか、話が噛み合ってない気もするけど。
よくわからない舞白の行動に付き合わされて、寝起き最悪だ。
舞白が起こしてくれた時間は、いつもの時間かと思いきや、学校に行くギリギリの時間だった。
私たちは、朝の支度をしてすぐに部屋を出た。
いつもと同じ学校への道を歩く。
すこしプリプリと怒った舞白だったが、しっかりと私と手を繋いでいた。まったく、よくわからない舞白。
私の勉強を手助けしてくれる気なのか、なんなのか。協力してくれようという気持ちが少ししか感じられないのは、私の気のせいなのかな。うーん。
それに、なんだか今日は、少しふらふらする気がする。
昨日久しぶりにした勉強のせいなのか、お風呂に入り過ぎたのか、寝不足なのか……。
「ごきげんよう、千鶴さん、舞白さん?」
「ごきげんよう」
「うぃ!」
「あら、今日は二人とも目が腫れぼったいですわ……? 寝不足ですか?」
登校する道では、いつも通り柊お姉様がいらっしゃる。
いつでも私たちを気にしてくれるようだ。私が眠いのはわかるけど、もしかして舞白も早起きしてお風呂の準備してくれてたとかなのかな、もしかしたら?
「ごきげんよう。私は少し勉強し過ぎかもしれません。気を付けますわ」
「うぃ。私は千鶴のお世話のせいっす。世話のかかる姉っす」
「……」
カチンと来ることを言われたので、舞白を睨むと舞白も睨み返してきた。
柊お姉様は、私と舞白の握る手を両手で包んで持ち上げると、ニコニコと笑っていた。
「まぁまぁ。二人とも、仲がよろしいですわね。千鶴さんも、もう少し舞白さんのことを気にかけてあげてくださいね?」
「……ほぇっ? は、はい?」
柊お姉様はそう言うと、私たちを追い越して学校へと向かっていった。
まるで、私が悪いみたいな言い方だった?
公平性の塊みたいな柊お姉様が?
はぁ、なんでだ……?
「千鶴、やっぱり私が正しいみたいだよ」
「なんでなのよ」
舞白は少しご機嫌になったのか、私に一歩近づいて腕に絡みついてくる。首を傾げてこちらを上目遣いで見てくる。
「柊お姉様も言ってた通りだよ? 私の言うこと、ちゃんと聞いてねっ!」
「そう言われると、従いたくなくなってくるんだよな……」
うーん。
とりあえず、学校に着いたら彩芽に相談してみよう……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます