第33話 お風呂勉強法の確立!

「それで、秘密はどこにあるの?」


「どこって言われても……。全部、見せてるじゃん……」


 舞白は湯冷めしようとしているのか、バスタオルを身体から外して、すっぽんぽん状態になってしまった。なんだか恥ずかしそうにもしているし、なにやっているんだろう?


 相変わらず、身体は女児ですし。

 私と比べると、膨らみが多少あるのは否定できないけども。毛とかは、まだだよね。うん。


 そこまで、大人になって来てたら、私はもうお姉さんでいられないかもしれないからね。私の身体はそんなに見られていないはずだから、まだ尊厳は保っていられるはず。


 って、なにを舞白の身体をじろじろ見ちゃってるんだろう。

 秘密を隠さないよーって言って、見せて来たからには、何かあるのだろうけれども。どこに、なにがあるっていうのかな……?


「全部見せてるんだけどさ……。なにか反応とかないわけ……?」


「うん……? ちょっと、うん。『ありがとう』っていう気持ちは、湧いているけども……」



「それなら、ありがとう」


「うん」


 なんだかよくわからないけど、裸の舞白を堪能しているだけになっている気がする。恥ずかしそうにもじもじする舞白の姿、可愛いけど。

 相変わらず美形だし。このくらいの歳にしては、発育も良いし。私のこと、好いてくれているし……。


 舞白は視線をあちらこちらに泳がせたあと、私に聞いてきた。


「勉強、捗ってるの?」


「一応ね。やっぱりお風呂に入るっていうのが、効果的なのかな?」


 彩芽との入ったお風呂。

 儀式的だったかもしれないけれども、効果的に働いているっていうことなのかもしれない。眉唾物だったけれども、多分良いのかも?


 なんか違う気がしてならないんだけどなー、うーん……。

 舞白はもじもじしながら、教えてくれる。



「んー、そうかもね? お風呂っていえば、私はお風呂で暗記科目やったりしているよ? 教科書から離れて、リラックスしながらだと意外と覚えられたりするよ?」


「なるほど!? もしかして、お風呂に入ってからっていうよりも、お風呂に入りながら勉強すると良いっていうことなの!?」


 舞白の勉強の極意を聞けたような気がしたので、ついつい裸の舞白の両肩を掴んでしまった。舞白は驚いているようだったけど、どうしても今聞いておきたい。頭の出来が良くない私には、全然時間が無いから。


「それ、詳しく教えて欲しい!」


「え、う、うん? 今言った通りだけれども……?」



「お風呂に入りながら、暗記するのね。他の教科も、もしかしてお風呂で勉強すると良いっていうことなのかな?」


「まぁー……。机の上だけで勉強するって、逆に非効率な場合も多いからね。どこにいる時でも、何を焼ている時でも考えているっていうのは、勉強としては効果が高いと思うよ?」



 舞白が勉強のコツを教えてくれた。私が学年トップにならないと、手芸部への入部はできないから協力関係なのは、わかっていたけれども。そんな秘密があったんだね。


「舞白、ありがとう! 舞白のことが少しわかった気がする! 明日から一緒にお風呂入ろう!! 一日何回でも入ろう! むしろふやけるまで、ずーーーっと一緒に入ってよう!」


「……はぁ?」



「あ、けど。彩芽とも勉強したい気がするな。同じ学年の方が、問題を出しあえる気がするし……。今日のアレは、もしかしてお風呂の緊張感を取り除くための『儀式』だったのかも。そうか、きっとそうだ!」


「……なにを納得しているのか、サッパリなんだけど?」



「じゃあ、舞白は帰ってきてから一緒に入ろうね! それまでは、私は彩芽のところでお風呂に入ってくるから!」


 それが、きっと一番効率的だ。お風呂でお勉強作戦。これで、私は学年トップになれるはず!

 そんなことを思ってニヤニヤしていると、舞白が睨んできていることに気が付いた。


「お姉ちゃん。彩芽って人誰? 私も、そこに行きたいんだけど?」


「んっ? 彩芽は私の友達で、一番頼りになるヤツだよ?」



 舞白は、少し怒ったように私の手を払って、逆に私の肩に手を置いてきた。


「お姉ちゃんとお風呂に入るのは私だけ! その彩芽って人に言うよ。人のお姉ちゃん取らないでって!!」


「う、ん? 私は成績を上げようとして……?」



「彩芽、絶対に許さないからっ!!」


 裸の舞白は、身体から湯気を上げながら怒っているようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る