星が好き。だから学びたい。
でも「好き」だけでは進めない現実がある――。
天文サークル「10Q」を舞台に、主人公・由希と後輩の円香が、星空の下で交わした言葉が静かに心を動かしていく物語です。
都会では見えない星、地元で見上げた満天の星、研究者への憧れ、進学費用の壁、家族の事情、そして祖父の記憶の欠落。夢と生活がぶつかり合う場面が、きれいごとだけで終わらずに胸へ刺さります。
一方で、この作品はずっと暗いわけじゃない。
「10 questions」「Thank you」「天泣」「天弓」――言葉の連なりが、登場人物の心の変化をそっと照らしていく。
星を見上げるという行為が、ただのロマンじゃなく「前へ進むための姿勢」になっていく瞬間が、丁寧で鮮やかです。
夢を追う人にも、夢を諦めかけた人にも刺さる“静かな青春”
読み終える頃には、あなたもきっと空を見上げたくなります。