第32話
その頃我が家では、犬のチョン達と猫のコペルニクスが一緒に住んでいた。
チョン『達』と言うのは、見ないふりの出来ないパパが迷子の犬をしょっちゅう連れ帰るので、犬だけは7匹になっていたからだ。
因みに猫のコペルニクスと言う名前は、大勢の犬達と猫の仲睦まじい共存が私達にとっては『コペルニクス的転回』だったからである。
感心なことに散歩だけはパパが毎日やっていたけれど、殆どの世話はママがしていた。
散歩も食事と同じレベルで好きな犬達は、散歩に連れ出すパパを第一の御主人様と敬い、一番大変な世話役のママは二の次とインプットされたことが有り有りだった。
ママはよく
「割に合わない」
とブツブツ言っていたが、確かに一番大変なのはママだったけれど、一番動物達を気にかけていたのもママだったと思う。
犬達には、そんなママへの甘えも有ったような気がする。
私はママの助手的な世話役だったので、たぶん犬達にとっては問題外な存在だったろう。
ただ、犬達は人間の上下関係や一人一人の立ち位置を非常に敏感に感じ取るようだ。
私は、両親にとって保護する存在なので
犬達も私に対してはその意識を持っていたと断言出来る。
その点コペルニクスは私を対等に見ていたのではないかと思う。
犬達を親に持つ兄弟みたいな気で居たのかもしれない。
コペルニクスの背にピーターが乗って、犬の散歩について行くのをよく見かけた。
私が犬の散歩に行く時は必ずだった。
どうもコペルニクスとピーターは意思疎通が出来ていたのではないかという節がある。
会話しているような様子を見たこともあるし、二人はやること成すこと似ていた。
いずれにしても気の合う仲だったことは間違い無いだろう。
私達が帰宅した時、ピーターが先に入りそのまま所在不明になることが有る。
そんな時は必ずコペルニクスの姿も無く、二人の名前をいくら呼んでも出てこない。
暫くして周囲から執拗な視線を感じその方向を見ると、冷蔵庫や箪笥や本棚の上に二人並んでチンマリ座り、シラ〜ッと私を見つめていたりする。
私が気づくとピーターはニヤリと笑うが
コペルニクスも笑ったように見えたのは私だけだったろうか?
一度
「コペルニクスと話が出来るの?」
とピーターに聞いたことが有ったけれど、上手く誤魔化されてしまった。
何故かそれ以上は聞けない雰囲気だったので未だに謎だ。
2学期に入って私は、今度こそはっきりと意識に残る💕恋💕をした。
つづく
挿し絵です↓
https://kakuyomu.jp/users/mritw-u/news/16818622176608748615
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます