ピーターパンと私
藍香【主に SF ファンタジー小説】
第1話
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はじめに
日常生活密着型のファンタジーです。
一人の女性の平凡と言えば平凡、非凡と言えば非凡な人生を物語にしてみました。
泣いて笑って、笑って泣いて、昔を懐かしんで下さったり、振り返って下さったり、現在進行形で頷いて下さったりして頂ければ幸いです。
一人称の文章ですが、飽くまでフィクションです。私自身の物語ではありません。
1話毎に挿し絵が付いております。
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私が初めて彼に会ったのは、もうすぐ寝返りが出来そうという生後間も無い頃だったようだ。
私が物心ついた頃からママがよく言っていた「アイちゃんはね、ベビーベッドに寝せておくと何も無い空間をさも虫でも飛んでいるのを見ているように一心に見つめて、一人笑っていたのよ」という話がそれを裏付ける。
ママによると乳飲み子の私は、そうやって見えない何かを見る為に首を動かし寝返りを覚えたのだそうだ。
勿論私はその頃のことを何も覚えていない。
最初の記憶に有るのは、私が人生初の二足歩行に成功した時のことだ。
私が、両手を広げて待つママの元へ一歩二歩と近づいている時、私の周囲をパチパチと小さな音が回っていることに気がついて二足歩行を中断した。
立ったまま音を追いかけると、小さな小さな光の玉が素早く動いていた。
そして小さな光の玉から励ましと喜びの感情が伝わってきた。
途中で立ち止まり、虚空を見ながらケラケラ笑っている私を見て
「アイちゃん! こっちこっち! ママは此処よ!」
とママは必死だった。
不思議なことに、その時のママの必死な形相をはっきり覚えている。
人生で初めて見る母親の引きつった顔なのだから。
赤ん坊ながら一人笑いを誤魔化す為に、その後私も必死でママの胸に飛び込んだことはしっかり記憶に有る。
ママの喜びと興奮が全身から伝わってきたことも。
その時の事は、ママと私共通の完璧な記憶として今でもしょっちゅう語られるが、毎回私の記憶だけは軽くあしらわれる。
「まだ一歳になったばっかだったのよ」
その後に「覚えてるわけないでしょ」と付けたがっていること有り有りだ。
これがいつものママ見解であるが、私は生まれて初めて彼を認識した記念日として、一歳ちょっとの記憶が有ることを断言する。
彼……… 彼は妖精ピーターパン!
つづく
挿し絵です↓
https://kakuyomu.jp/users/mritw-u/news/16818093093955125781
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