第4話 紗友里も誘おうよ

ほんのりしょんぼりとしたフランソワと共に扉を戻る

かなみとフランソワ


扉を通る前にフランソワが


“主よ、紗友里も連れてもう一度ここに来ることはできないだろうか…”


ダメなの?とウルウルとした大きなつぶらな瞳をこちらに向けてキュルンと

かなみを見つめてお座りをするフランソワ


「だって、さっき明日って言ったでしょ。それに紗友里はまだ寝てると思うよ。

しかも、敵を倒すなんてゲームでもあるまいし嫌って言うと思うよ~」


“主よ、聞いてみるだけ!聞いてみるだけで良いのだ。どうかどうか頼む”


お願いをした後で頭を地面にこすりつけお尻をあげてフリフリとするフランソワ


「くっ!卑怯な!可愛いなぁフランソワ~」


とモフモフに顔を埋めてグリグリと頭をこすりつけるかなみ


(ふっ、かかったな)としたり顔のフランソワの顔を見ることは無かったのだ





扉から車庫に戻り、家に入ると


「あっ、散歩行ってたの?」


「おそようさん、紗友里起きたの? 朝ごはん食べた?」


「まだ、これから~」


「ワン!」


「フランソワ~どうしたの~?マミとの散歩足りなかったのか?」


「くぅーんくぅーん」


可愛い犬と愛娘の会話を横目に見つつ

紗友里よ騙されるなよと独り言ちる母かなみであった。


「紗友里、何かつまみながらでいいから話を聞いて欲しい」


「何?深刻な顔して、怖いんだけど。」


「信じてもらえるとは思ってない。けど

車庫での出来事をまず聞いて欲しい」


そして、かなみはどう説明したらいいかわからないので

さっきまでの出来事を時系列で説明して

フランソワと会話までして、紗友里を連れてもう一度行きたいって言われたことを話した。


「マミ、とうとう頭おかしくなったの?」


「私もそう思うわ。」


「くぅーん」


でももの言いたげなフランソワが横でそわそわと右往左往している


「フランソワ、もう一回車庫行きたいの?」


フランソワを見て紗友里が話しかける


「ワン!」


「マジ?」


「どうしてお母様の話は頭おかしくなったって感想でフランソワにはその対応何だろうか。母は傷ついたよ…しくしく」


「ちょっと、ジュース飲んでから着替えてくる」


泣きまねをしている母を華麗にスルーして冷蔵庫に向かう紗友里

フランソワはしっぽをブンブンしてキラキラした期待の目で紗友里を見ている


ジュースをゴクゴクと飲み干して


「ジーンズでいい?」


「長袖長ズボンならいいと思う」


娘の塩対応はいつものことなのでかなみもさらりと流されたまま聞かれたことにこたえる。


着替えた娘を連れて、家の鍵を持って2人と1匹は車庫へ向かった


「マジでゴブリンとか居るの?」


「居た。超怖かったつかキモかった。」


「で、フランソワはどこから話しかけてくれるの?」


「扉を掴んだらかな?その辺がまだ曖昧なんだよね。」


「私鑑定スキル欲しいな、あと錬金 マミは何かスキル発動させたの?」


「自分のステータスすら見れてないのだが」


「もう、何のために今までゲーマーだったのよ?」


「面目ない」


「マジか!ホントに扉ある!」


「だから言ってるではないか…信じられないだろうけど信じてよ~

扉くぐった最初、頭に魔法陣見えてクラクラするから気を付けて」


「わかった。具合悪くなったら戻るわ」


「くぅーん」


「フランソワは一緒に来て欲しいの?」


「わん!」


そんな会話をしながら紗友里は扉を開けた


“紗友里よ!私の声聞こえるか?”


「…くっ  フランソワ!」


クラクラと感動を同時に感じているような娘が倒れないようにそっと肩を支えるかなみ


「フランソワ、敵は近くに居ない?」


“主よ、ちょっと向こうにあの気持ち悪い奴が3体居る”


「えぇ 聡さんの警棒持ってくれば良かった。」


「マミちょっと待ってて」


紗友里がすぐ後ろの扉から車庫に戻って行ったと思ったら

鉄パイプ片手に戻ってきた。


「はい、頑張って」


「はい、頑張ります」


娘からの無言の圧力を感じつつ

絶対に守らなければならない存在が後ろに居るというのは

母であるかなみは強さと度胸を発揮したのだった。


「フランソワ、行くよ!」


“もちろんだ!主!”


フランソワが走り出し、その後ろをついていくかなみ

そのちょっと後ろからそろりそろりと紗友里が付いていく

20mほどだろうか木を避けながら走ると


“グギャー ギャッギャッ”


と鳴き声?会話のような声がする


「グルルァアアア!」


さっきよりずっと迫力がある声でフランソワが吠える


不意打ちを食らった形になったゴブリン達はフランソワを見て

恐怖と驚きで固まっている

その後ろを走ってきたかなみは

勢いのままゴブリンを鉄パイプでぶっ飛ばす

1体はそのまま消えたが2体は重なり合うように倒れただけでまだ息があるようだ

残りの2体はフランソワがもちろんジャンピングアタックをかまして

即、消え去った。


「さゆ~もう大丈夫よ~」


かなみが声をかけるとすぐ後ろの木の陰から紗友里が青い顔で出てきた

その間に落ちているアイテムをかなみは拾い集める

今回はビー玉ばっかりだった。


「マジだったし。マミもフランソワも強くない?」


「あ!待ってレベル上がった。」


“紗友里をパーティーに加えますか?

経験値が共有されます。”


「パーティーに加えます。」


かなみの声をよそに


「ステータス確認」


横で紗友里がぽつりと呟く


「見れたよマミ」




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