対の片方は、引き裂かれても、血に染まっても……

御伽草子913

第一章 遠い約束の向こうに

第1話 プロローグ

 ぼくが生まれる前、戦争があった。


 たくさんの人が死んだとことと、東京が【別の国】になったことを、小学3年生の時に習った。


 そして、その戦争は今、”休んでいる”ことも習った。


 男子の連中は、なぜかその話が好きらしい。

 休み時間には戦争ごっこが流行っていた。


 だけど、ぼくはああいうのは好きではなかった。


 正直、ぼくには関係ないし、興味もない話だった。


 だって、お父さんもお母さんも死んでないし、親族もみんな元気だった。

 それに、ぼくの住む街は東京から離れていて、みんな平和そうに暮らしていた。


 ……別の国だからと言って、東京へ遊びに行ったり、

 あんな遠いところに”引っ越したり”できるくらいには、平和だった頃だった……


 だから、戦争なんてテレビの中の出来事だった。

 現実味なんてまるでなかったし、東京にもまったく興味がなかった。

 地図で場所を聞かれても、答えられないくらいだった。


 この時までは―――


※続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る