デュアル・デュエルの基本ルール(勝敗編)/箭嶋仁武

「それじゃあデュアル・デュエルのルール説明をしていくぞ、正面の闘技路ロードで実演するからセットでよく見てくれ」

 陽駆ハルカ先輩が説明する中、仁武ジンブたち講義助手は競技スペースへとスタンバイ。ちなみに仁武は青、漣吾レンゴは白のアーマーを付けており、試合中も「青方あおかた」「白方しろかた」と呼ぶ。

「デュアエルとは剣戟の戦いであるのと同時に、陣取り合戦でもある。競技スペースである闘技路は短辺4メートル、長辺15メートル、高さ6メートルの金網で覆われた空間。刃闘士じんとうしはこの内側、繋援士けいえんしは外側から競技に参加する。はい、位置について」

 左右の短辺にあるドアを開き、仁武と漣吾は闘技路に入る。義芭ヨシハ乃愛ノアはドアの後方にある座席に腰掛ける。


「いま開けられた両端のドアは陣戸じんとと呼ぶ、この陣戸は各チームの防衛線を表しているんだ。自陣を守りつつ敵陣を突破する、あるいは兵士を無力化する――というコンセプトの元、3つの勝利条件が設定された」


 闘技路の中。相手方の防衛線である赤い陣戸の近くまで、仁武も歩み寄る。呼吸を合わせてデモ開始――漣吾の中段突きを刀で払った仁武は、一気に突進しつつ袈裟斬りを放つ。漣吾が斬撃を回避したのに合わせ、仁武は振り返らず疾走。そのままヘッドスライディングで、左手を伸ばして陣戸に触れた。

「敵側の防衛線を突破する、つまり陣戸に触れる『突破』」

 

 漣吾との位置を入れ替え、次のデモ。仁武が飛び込みつつ真っ向斬りを仕掛け、後退で躱した漣吾の直槍が下段を奔る。穂先は過たず、仁武の右足を捉えた。

「敵をぶっ倒す、つまり刃闘士の身体に有効打突を与える『成斬せいざん』」


 漣吾の中段突きを、仁武はサイドステップで回避し、柄へと本太刀を振り下ろす。

「敵の武器を壊して戦闘不能にする、つまり刃闘士の擬魔刃の脆弱部に有効打突を与える『武壊ぶかい』――ちなみにどこが脆弱部かって話は後述。

 これらを成功させると『一本』となりラウンド勝利。通例、2ラウンド先取でゲームセットだ」


 防衛線と武器破壊。魔術なしの純体武器術にはないこれらの要素が、デュアエル独自に駆け引きを生み出している。


「制限時間は1ラウンドにつき1分間。これを過ぎても一本が出なかった場合は『効果』の獲得数で勝敗を決める、これも3種類だな――ここで補足しておくと、武器以外の身体を使った攻撃も認められている。反則に関しては後述だ」 


 再び、刃闘士によるデモ。まずは漣吾の懐に入った仁武が、前蹴りで漣吾を端へと押し出す。

「相手の身体の一部が通路脇の金網に接触する『落体らくたい』だ。道を空けられるってことだからな」


 漣吾の槍の柄が仁武の右手を、そして本太刀の鍔を打つ。仁武は本太刀を取り落とした。

「相手の擬魔刃が持ち手を離れて床に転落する『落武らくぶ』だ。ちなみに拾って戦い続けるのはOK、難しいけどな」


 3つ目は再現が難しい、慎重に間合いを調整してからアクション。中段突きを躱された仁武は後退するが、そこへ漣吾の直槍の突きが迫る。漣吾の穂先が、仁武のアーマーの脇腹部分を掠めた。

「相手の身体に、有効打突には至らない程度の攻撃的行為を与える『微撃びげき』だ。文字通りのかすり傷とか、押し負けての転倒とかだな。

 これら『効果』がいくつ重なっても『一本』にはならないし、競技が止まりもしない。けど時間切れになったら『効果』が多い方がラウンド獲得。『効果』同数だった場合は、ラウンド終了時の敵陣戸との距離で決める。つまり、消極的な姿勢は敗因になりやすいんだよな」


 空拳くうけん術や撃剣げきけん術といった純体武術では、攻撃を仕掛けない試合態度は『指導』として減点対象となる。デュアエルではそうしたペナルティの代わりに、勝敗の基準そのものが攻勢を課しているのだ。


「続いて、用いる擬魔刃の種類について。みんな、タブレット見てね」

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