第2話 サニー視点
私は長年怠惰の魔王様の補佐をしている
魔族の名家アラーム家の長女
サニー・アラーム。
今日はとても珍しい事があった。
怠惰の魔王であるウル様が人間達の国を
襲撃したのだ。あの怠惰の魔王が。
引退したいと思っていたのは知っていたが、まさか人間達の異世界召喚の方法が
記された極秘の文献を盗むほど本気だったとは…
「ふぁ〜あ…えっと?何々?まず始めに、喚び出した者にこの世界の言語理解を付与
する。あぁそうか。異なる世界の存在を
喚ぶんだからそこからか…それから次に
喚び出した者に世界が適したスキルを
与える。まぁこれも分かるね。文官に剣術スキルを与えても意味無いし…あとは…
は?何だコレ?隷属化の術式?何でこんな要らない術式を組み込んでるの?
…あ〜人間達って、そこまで酷いの?
ねぇ、サニーちゃん」
「はい。自身の保身と利益を第一に考えて動きます。やっと人間達の酷さをご理解
いただけましたか…」
今まで何度、説明しようとした事か…
その度に「今日はイイや」とか、
「明日聞くよ」とか、
「それ聞かなきゃダメ?」なんて
おっしゃって聞く耳を持たなかった
あのウル様がようやく人間達に
興味を…長かった…本当に長かった。
…って喜べませんね。何せその人間達の
事をこれから喚ぶ異世界の存在に丸投げ
する気なんですから。
「ふ〜ん。じゃあこの隷属化の術式は
消して、代わりに魔王の適性がある存在
だけを喚べる様にしよう。そうだな〜
何があっても、どんな状況でも怠惰な
子が良いな〜。あ!サニーちゃんは何か
希望ある?」
私からの希望?…同い年くらいの青年で
顔が良くて優しければ…いや、望み過ぎ
ですね。一番望むモノは…
「やはり…同い年くらいの方でしょうか?接する時に気が楽ですので。あ、でも
出来ればで良いです」
「それだけ?本当に?それじゃあそれで。ほい、召喚♪」
軽っ!え?そんな軽くて大丈夫ですか?!失敗しませんか?!
ピッッカーーーーーーーーーーーッ!!
「「ぎぃやああぁぁ目がぁぁぁぁ!!」」
光るなら先に言って下さいよ!!
目が見えなくなったら、どうする気ですか!
「ふぅ〜びっくりした。あ!あの子
じゃない?よし!召喚成功!そして僕は
自由の身♪」
いや何言ってんだ
まず、能力を見ないと本当に魔王に
適してるか分からないでしょうに…
「魔王様…。まず彼の能力を確認
しなくてはいけないのでは?」
「あ、そうだね?それじゃあ。
【鑑定】っと…………わぁお。これは僕、
え?そんなにですか?
「うん。彼は歴代魔王の中で一番強いね。賭けてもいい。彼に勝てる存在なんて
それこそ神くらいのモノだろう。
もっとも、彼が成長しなければ…ね?」
は?成長すれば神すら倒せる存在?
そんなのに
私がそう思っていると…
「じゃあ【念話】をして……………………うん。僕、彼と友達になれそう。でも、
出来ない!何故なら僕は自由だから!
という訳でバーイ♪」
「は?」
ウル様は恐らく【転移】で何処かに行ってしまった。…あの
絶対説明とか諸々してないだろ!?
仕方ない。ここからは私がやらねば。
……そこからが大変だった。いや、本当に
自己紹介しようとしたら拳で床に大穴
開けるわ、勇者が飛び込んで来たから
身を挺して守ろうとしたら、後ろで寝息が聞こえるわ、かと思えば強い眠気に
襲われて思わず勇者から目を離した瞬間に勇者に攻撃されたら、勇者の攻撃が何か
透明なモノに遮られて不発に終わるわ、
よく見たら勇者も必死に眠気と戦っているような顔になっていて、満足に動けないわ何が何だか、さっぱり分からなかった。
私はこの状況を想定出来たあの方、
ウル様の言葉を思い出していた。
『彼は歴代魔王の中で一番強いね。
賭けてもいい。彼に勝てる存在なんて
それこそ神くらいのモノだろう。
もっとも、彼が成長しなければ…ね』
そうしていると勇者が倒れた。
恐らく眠ったのだろう。
ここで首を落とせれば、よかったのだが…
私も限界を迎えてしまった。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
補佐(ヒロイン)視点を書いてみました。
なんというか…こんな苦労させる気は
無かったんだけど、この娘以外にまだ
キャラがいない(元魔王は除く)し、
仕方なかったんだ…許せ、
多分。
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