第10話 2人でバー

 ホテルの最上階の夜景がみえるバーに移動した。



 俺の心は、決まった。


 中野に、すべてを話そう。


 今、波風たてずに穏やかに幸せに暮らしている

中野の生活を、壊すことになるかもしれない。


 だけど、そのあとは、俺が、全部引き受けるから。


 その覚悟を決めた。


 バーの店内に入ると、カウンターに案内された。


 何を頼もうか?

 こうゆう時は、俺が、頼んだ方がいいのかな?

 そう思いながら、一応中野に聞いてみた。


「中野は、何 飲む?」


「私、詳しくないけど、テキーラサンライズにしようかな?

 フルーツとか入りますか?」


 と、バーテンダーに聞いた。


「はい、カットオレンジが入ります」


「じゃ、それをお願いします」


「俺はパローマをお願いします」


「はい、かしこまりました」



 なんとなく意外な感じがした。


「バーにくることあるの?」


「あ、今はないよ。

 子ども生まれてからは、外へ飲みに行くこともほとんどないしね。

 若い頃、結婚前にね、数回行ったことあるくらいかな」


「そうなんだ」


 バーで飲むって、男と、ってことだよな?

 なんだろ、中野の若い頃の恋愛を俺がとやかく言える立場じゃないし、だけど、なんか今 嫉妬心みたいなのメラメラきたな。


「テキーラサンライズでございます。

 パローマでございます」


 と、同時に出してくれた。


「わっ、キレイ!!デンファレも添えられてる!」


 オレンジ色のカクテル、グラスにカットオレンジと紫色の花が添えられている。

 見た目にもキレイなカクテルだな。

 こうゆうのを頼むんだ。



 乾杯と、グラスをあげた。


「中野 俺さ、俺……今まで、中野に本当のこと話してなかった……

 中野が、正直に気持ち伝えてくれたのに、俺は嘘をついて、ごまかしてた。

 中学の時の話から、聞いてくれるか?」


「ん? はい、どうぞ」


 長い話になってしまうな。





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