第35話 新たな期待

冬が過ぎ、桜の花が咲き誇る春が訪れた。

莉奈が海外での研究を終え、日本に帰国する日が近づいていた。

一方、芽衣は彼女の帰りを心待ちにしながら、プロジェクトを進めていた。

ある日の朝、芽衣のスマートフォンにメッセージが届いた。

「芽衣、今週末に日本に帰るよ!久しぶりに会いたいな」

芽衣は喜びで胸がいっぱいになり、すぐに返信した。

「本当?待ってたよ!早く会いたいな。帰国したら連絡してね」

帰国当日、空港の到着ゲートには芽衣の姿があった。緊張と興奮が入り混じった気持ちで、莉奈の姿を探す。

「芽衣!」

遠くから莉奈の声が聞こえた。振り向くと、笑顔で手を振る彼女の姿が目に入る。芽衣は思わず駆け寄り、しっかりと抱きしめた。

「おかえり、莉奈!」

「ただいま、芽衣。待たせてごめんね」

二人は再会の喜びを胸に、空港を後にした。

その日の夕方、二人は桜並木の公園をゆっくりと歩いていた。淡いピンク色の花びらが風に舞い、春の香りが漂っている。

「日本の桜、やっぱり綺麗だね」

莉奈が感慨深げに言うと、芽衣も微笑んで頷いた。

「うん、莉奈と一緒に見る桜は特別だよ」

「芽衣、私ね、向こうでたくさんのことを学んできたよ。新しい療法も開発できたし、多くの人に喜んでもらえた」

「本当にすごいよ、莉奈。あなたの努力が実を結んだんだね」

「でも、日本で芽衣が頑張っている姿を思い出すと、私も負けてられないって思えたんだ」

芽衣は少し照れくさそうに笑った。

「私も、莉奈の存在があったからこそ頑張れたんだよ。離れていても、お互いを支え合えてたんだね」

二人は立ち止まり、桜の花びらが舞い落ちる中で互いの瞳を見つめ合った。

「これからはまた一緒に活動していけるね」

「うん、新たな希望を胸に、二人で歩んでいこう」

数日後、二人は久しぶりにプロジェクトの打ち合わせを行った。新しいアイデアや企画が次々と出てきて、話は尽きなかった。

「海外での経験を活かして、もっと多くの人に音楽と療法を届けたいね」

莉奈が熱心に話すと、芽衣も同意した。

「そうだね。私たちにできることはまだまだたくさんある。次は全国ツアーを計画してみない?」

「いいね!各地の文化やニーズに合わせたワークショップを開催しよう」

二人はノートにアイデアを書き込みながら、未来のビジョンを描いていった。

その日の夜、二人は夜景の見える展望台にいた。無数の光が瞬く街を見下ろしながら、芽衣が静かに言った。

「莉奈、改めておかえり。あなたが戻ってきてくれて、本当に嬉しい」

莉奈は芽衣の手を取り、優しく握り返した。

「ただいま、芽衣。これからも一緒に頑張ろうね」

「うん、ずっと一緒に」

夜風が心地よく二人を包み込み、温かな気持ちが胸に広がっていく。

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