第2話

 それは、私が小学校へ入学した頃。

 当時、父と母は年頃の息子のいる夜の営み(!)に対して、大変気を遣っていたように思う。

 私が大きくなってから、今にして思えば、と言えるもので、母は継子の息子に対して父以上に敏感だったに違いない。


 ちょうどその頃、家の近くにカラオケボックスが出来た。

 我が家のある西地区には、小・中・高校が集まっていて、学校の近くのカラオケボックスは騒音や溜まり場になり易い、環境悪化だとPTAや教師会等で署名を集めたりしていたが、結局それ以上の強制は出来ず工事は進み、無事オープンした。


 最初は敬遠していた父母達も、役員の誰それが行ったという噂が出るようになると、見学という名目でしばしばボックス通いをする所となった。


 ともかく、両親もボックスに行き、兄と私も連れられて行くこともあったが、夫婦だけでボックスか飲みに行く時は、留守番をさせられた。

 子供といっても、兄はその時十四才の中学生だったので、私を置いて出掛けない限りは両親も安心だった。

 よもや、家の中が危険だとは夢にも思わなかったに違いない。

 私自身、まさかとしか言いようがなかった。

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