あやかし婚活姫と霊感従者の恋結び
ちづ
第1話 あやかし婚活姫
「これより、駆け落ちするあやかしを募集する!!」
宇治。貴族の別荘地。その一室で、やんごとなき姫君は叫んだ。
「は?
「聞いてくれ
「はあ……
「しかし、
「
事情は分かりました、と
「それで──なぜ、駆け落ちなのです? それもあやかし相手などと」
「なあに、簡単よ。人間相手だと連れ戻される可能性が高いじゃろ? あやかし相手なら父上も帝も諦めると思うのじゃ」
「そこでは遠い。こっちに来い一縷くん」
「ちょっと、みだりに異性を招き入れるものではないと何度も」
「な~に。私と一縷くんの仲ではないか~よいではないか~
「姫も充分権力者しぐさしてますよ!!」
一縷は胸元から
「いつ見ても、摩訶不思議な術じゃ。面白いの~」
小柄で豊かな髪。重ね着した小袖は花開くように鮮やか。そんな結姫は左のこめかみを赤い髪紐で結わいていた。自分と同じ飾り紐。一縷は思わず緩んだ口元を引き締めた。
「それ、狐の妖術なんじゃろ。いいなあいいなあ。私も使いたいなあ」
「姫には使いこなせませんよ。私だって、
「でも、霊感あるし。一縷くん」
「鬼も霊も、見えていいことなんかありません姫」
「だってなんかかっこいいじゃん~」
それより、本題は! と一縷が一喝すると、おおそうじゃった、と結姫は文箱から和歌を綴った紙を取り出した。
「と、いうわけで、こちらの恋文。
「あやかし相手にナンパする気ですか!? というか、人のこと、霊界通信に使わないでもらえますか!」
「だって、一縷くん、幽世にも渡れるし。あやかしにも顔が利くし。幼少期、神隠しにあったそなたを拾ったのはこの日のため……」
「あやかしとの婚活のために!? 知りたくなかったなー!」
一縷が頭を抱えると、うるうると結姫は懇願した。
「お願いじゃ一縷くん。父上の道具になるのは嫌じゃ。帝と姉上の仲を壊す真似もしたくない。駆け落ちするしかないのじゃ」
「……っだったら! なにもあやかし相手と駆け落ちしなくたって……っ」
思わず語気を荒げた一縷は、じっと結姫を見つめた。
「じゅ、従者とだって、よいではありませんか……?」
目を見開く結姫の瞳の中、真っ赤になった一縷の顔が映る。まじまじと見つめ合い、そうして、結姫はフッと肩をすくめて笑った。
「身分違いは嫌じゃぁ……」
「無駄に
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