カーテン



静かな部屋

壁に映る影

私の声はどこにも届かない


ガラス越しの世界は

淡く滲んで

泣くことさえも許されないみたい


「大丈夫」って笑うたびに

剥がれてく心の色


ねえ、

誰か気づいてよ

このまま消えてしまう前に


カーテンの隙間から

こぼれる月の光

冷たい指先を

そっと撫でていく


ねえ、

もしも明日が来なかったら

少しは

楽になれるのかな



閉じたノート

書きかけの言葉

誰にも読まれず

ただ色褪せてく

鏡の中の私は

何を望んで何を失くして

ここにいるの?


「平気だよ」って嘘をついて

一人きり息を潜める


ねえ、

誰か探してよ

この声が

消えてしまう前に


カーテンの隙間から

夜が覗き込んで

隠した涙ごと

すべてを飲み込む


ねえ、

もしも明日を選べるなら

どこか遠くへ

行けるかな


言葉にできない

傷の上

積もる雪みたいに

冷たく重たく

沈んでく


カーテンの隙間から

零れた光の欠片

それがまだ

消えないなら

私もまだ


ここにいていい?



__________



2025年2月20日

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