.


私に視線を置いたまま、彼が薬指からそっと唇を離し、そして口を開く。





「僕の一生をかけて、まほを愛する事を、誓います」





彼の、その全ての動きが、私にはスローモーションに見えた。




激しく鼓動を打ち小刻みに震える心臓が、苦しかった。




どうして、そんなにも重い言葉をためらいもなく真っ直ぐに言えるのだろうか……




「結婚」って別に、どうしてもしたかったワケじゃないし、焦ってたわけでもないけど、でも…


他でもない大好きな彼が、自分との結婚を考えてくれていた、って事は素直に嬉しいし、彼がそれを望むなら、応えたい。


純粋にそう思う。





…でも。


……でもでもでも。



今、私の頭を大きく占拠する思考、それは……






“本当に、私で良いんですかーー!?”



って、コト。





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