第2話

翔が転校してきてから、次第に彼に対する嫌がらせが始まった。最初は些細なことだった。教科書を隠されたり、わざと悪口を耳に入れられたりする程度だった。しかし、それは次第にエスカレートしていった。


「おい、加藤、お前、どんな家に住んでんだよ? 貧乏くさい服着てさ。」


ある日、翔が教室に入ると、他の生徒たちがニヤニヤと彼を見ていた。彼の制服のボタンが一つ、外れていたのだ。それをわざと指摘してからかうような言葉が飛び交った。


「そんなの、どうでもいいじゃん。」


真央は心の中でそう思いながらも、何も言えずにただ見ていた。翔は、何も言わずに黙ってその場を立ち去った。しかし、その後もいじめは止まらなかった。翔の靴が汚されること、机の中にゴミを入れられること、授業中に揶揄されることが続いた。


真央は、自分の心の中で翔を見守っているつもりだったが、結局、何もできなかった。彼に手を差し伸べることができず、気づけば、いじめの加害者たちの一員となっていたことに気づくのは、遅すぎた。


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