第23話

青年がふとそう呟いて、そして私に向かって微笑んだ。


驚くほど綺麗な笑みに、私の胸の奥が熱くなる


そして、また呟いた






「セツ……」


「それが、夢の中の人の名前?」


「うん。……どうしよう」


「?」


「私、この人を、セツを探さなきゃいけない」


「なんで?」







青年が、笑みを崩さないまま聞く。


私は言葉に詰まり、そして必死にその理由を探して。







「なんでかな……

 なんだか、そう約束したみたい。いや、私が勝手にそう約束したみたい」


「そう……なら、僕と同じだね」


「え?」


「僕も彩月を探さなきゃいけないんだ。そう約束したから……僕が勝手に、ね」

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