ちょっと内気だけれど、細やかで優しい主人公・果連さん。彼女が買ったオフィス用マグカップの中に棲む、おしゃべりな猫さん。ほのぼのと温かい話運びに、ほっと気持ちが癒されます。仕事や人付き合いに疲れ気味な心をふんわり解してくれる、優しい甘さの物語です。
オフィスのさまざまなシーンで密やかに生まれる、果連さんの繊細な心の声。その呟きの一つひとつがとてもリアルで、「あーそういう気持ちあるある!」と深く頷いてしまいます。そんな果連さんの会社のデスクで、彼女だけに届く声で言葉を交わす猫さん。可愛いお喋りにクスッとさせられます。
誰にも聞かれないまま取り留めなく揺れる心。自分一人で処理しなければならない感情に、こんなふうに楽しく喋りかけてくれる誰かがいたら楽しいだろうな……読み進めるうちに、疲れてカサカサした心が潤っていくようです。
まだ物語は途中ですが、ここからもふんわり優しい甘さをたっぷり味わえそうな素敵な作品。おすすめです。