才能至上主義

あなたの才能のエサになれるなら

ここまで無駄に生きながらえた意味があったと思えるの


浮気とか 不倫とか どんどん遊んでいいのよ

そうして 私の心を

嫉妬と焦燥と愛情と憎悪に塗れさせて欲しい


ぐちゃぐちゃのどろどろになって

箸の持ち方も分からなくなるぐらい

あなたのことで頭がいっぱいになっている私を見たあなたも

その時だけは 私のことで頭がいっぱいになるでしょう?


そうして 蜘蛛のように吐き出された言葉の糸が

また私を雁字搦めにしてくれる

エサとしての自分が誇らしくて 私は

いつあなたが食べ尽くしてくれるのかと

ドキドキしながら 待っているのよ


才能などないなんて 謙遜する必要はないの

濁った水の中でバタつく足のことなど 

見せる必要もない


才能は努力の上に成り立つものではなく

努力を踏み付けにした上に君臨するものだから


私はただただ あなたが言葉を紡ぎ出す瞬間

ほんのわずかであろうと 

私のことを想ってくれるなら 

死ぬまで最高のエサであり続けるわ


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