夜のうた

ひとつぐらい いいことがあったって構わないだろと

思っていたけど

ひとついいことがあると それじゃ足りないなんて

言うヤツばかり


右の頬を打たれたら 左の頬を殴り返すような

天井のない毎日

夜明けに差した光は 誰かが作った偽物で

そうだろうなと笑った


きれいなものだけを見たいんだ

あこがれに焦げ付く 痛みの中で

僕なんか映さない その瞳

君は本物なの 信じさせてよ


いつ死んでも構わないと言うやつほど 長生きする

今 それを検証しているんだ

嘘だってことになるように

毎日を生きてる 僕


上から落ちるのは簡単で 下はいつまでも見上げるばかり

空って何色だったっけ

夜更けの黒は沼のよう 足を引っ張るのは誰

あぁ、僕かと笑った


きれいなものだけを見たいのに

どうしても曇る まぶたの裏

首ごと落ちる ツバキの花なら

君の髪に飾ってもらえたのかな

堂々巡る 夜の戯言 

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