僕が子豚になっていたら
もしも 朝目覚めて
僕が子豚になっていたら
きみの首筋に鼻を寄せ
すんすんと鳴いては
もう一度 夢にもどるのに
現実にはそんなことあり得ないから
僕はひとり ベッドから出て歯を磨き
鏡を眺めては
何の夢も見なかった顔を装うんだ
こういうの得意だよ 知らなかったでしょ
痛い気持ちは 電柱の陰に
悲しい気持ちは 電車のシートに
暗い気持ちは スーパーの棚に
隠して 挟んで 置きざりにして
部屋にはもう戻らないでと
イヌのように言い聞かせるんだ
時折 聞き分けのない気持ちが
玄関や 茶碗や シャンプーのボトルに落ちてるけど
触れないように用心深く距離を取れば
そのうち消えてなくなるはず
部屋の灯りを消して 深夜に映画を観て
寒い部屋で いつものアイスを食べて
二人掛けのソファで 読みかけの本を開いて
対戦相手のいない 格闘ゲームに笑って
こんな僕を きみはどう思う?
尋ねてみたいけれど
気楽なメールも出来ない間柄になってしまったから
きょうも僕は 言葉を飲み込んで
シーツの冷たさに震えて眠るしかないんだ
もしも 朝目覚めて
僕が子豚になっていたら
きみが優しく撫でてくれる
そんな夢を みられますようにと願いながら
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