第78話小野田さん家の家庭事情②
喉が渇く。
緊張と恐怖感で口の中はカラカラだ。
正輝と正輝の婚約者でカシラさんの補佐をしている金子さんに誘導されて俺は今部屋の入り口で固まってしまっている。
「おい!お客さんが通れねぇだろ?道作ってやんな」
部屋の奥にいる正輝の姉であるカシラさんの一言で座っていた組員さん達が真ん中を空けて通路を無言で作ってくれた。
「どうした?兄さん。さっさとこっちに来な。」
「は、はい!」
俺は組員さんが作ってくれた通路を渡りカシラさんの前に来た。カシラさんが指で座る様にジェスチャーをしてきたので高級そうな座布団に座らせてもらった。
俺の後ろには正輝と金子さんが横に並んで静かに座っていた。
「んじゃ、自己紹介といこうか。私はこの斧田組のカシラをしている正輝の姉の
さすが正輝のお姉さんなだけあって普通に美人だ。しかもかなりの。
「は、始めまして。正輝の学友で親友の氷室咲夜と申します。ほ、本日は急な話、泊まりになってしまいましたがよろしくお願いします。」
土下座しそうな勢いで頭を下げた。
「泊まりのことはオフクロから聞いていたから別に気にすんなよ。...親友か。お前さんは正輝と親友だと思ってんのか?」
「それは、数少ない同性の学友ですし、あともう三人いるんですが、正輝を含むその四人とは今後とも仲良くしたいと思っています。」
「そうか。そうか。...他の三人は置いておくが、正輝の家がこんな家業だと知って兄さんは仲良くできんのかい?」
空気が一気に張り詰めた感じになった。
「?家業が何だろうが正輝は正輝ですよね?だったら変わらないですよ。さすがに犯罪を犯したとかなら説教くらいはしますけど。」
そもそも自分の家族が男性警護人の組織でほぼトップの存在だったりしているからか一般家庭とは違う為、最近は家業がどうこうとか気にしなくなってきた。
最近は国主8家の人達とも知り合う機会が多くなった せいか余計にだ。
「正輝は正輝か....。ッハッハハ!正輝から聞いた以上の良い男じゃないか!おい聞いたか!この兄さんはうちの家業を知ってでも正輝と親友だと言い張った!」
「アタシは気に入ったよ!アタシはこの氷室の兄さんを歓迎してやりたい!おめぇらはどうだ?!!」
「「「よろしくお願いしやす!氷室の兄貴!」」」
後ろを見ると強面のお姉さん達が座りながら俺に頭を下げてきた。
兄貴って...お姉さん達のが年上やん。
「さ、さ、咲夜く〜ん♡」ガバッ
「ぐおっ!?」
正輝が俺の腰辺りにタックルしながら抱きついてきた。
「僕も咲夜君を親友だって思ってるよ〜♡」
「わかった!わかったから落ち着けって!ステイ!」
「わはは、仲が良いじゃねーか。これからもよろしくな!いや〜麻衣が惚れ込んだだけはあるな!」
「あ、麻衣さんとは御友人なんでしたっけ?」
「おうよ。正輝から聞いたんか?あいつとは幼なじみだよ。」
麻衣さんとは性格が正反対な気がするけど、そのほうが仲良くできるのかな。
等と考え事をしていると奥の襖が勢い良く開かれた。
「こらっ!真輝!またあんたはそんな仰々しい真似して!氷室君に迷惑かけるんじゃないよ!」
「オ、オフクロ!?帰って来たのか!?」
正輝のお母さんと思われる人とマリアさんが呆れ顔で真輝さんに説教していた。
「すみません氷室様。カシラ...真輝の悪い癖が出てしまったようで..。」
「あ、いえ。」
ふと気付くと、周りの組員さん達が青い顔をしていた。
たぶん真輝さんに付き合わされていただけだから怒られる可能性があるからだろう。
「氷室君、初めまして。正輝の母の
「初めまして。氷室咲夜と申します。今日、明日とお世話になります。」
正輝のお母さんは二人の子供、一人は成人済みの子供がいるとは思えないほど綺麗な人だった。
「真輝からうちの家業を変な風に説明されていると思うから、ちゃんとした説明をマリアちゃんから改めて説明してもらうわね。マリアちゃんお願い」
「はい、氷室様一旦真輝が言っていたことを忘れてください。説明致します。」
・・・・・・・・・。
なるほど。マリアさんの説明で正輝の家の役割を理解した。
この自治区は裕福な家庭が多く、どこかの会社の社長や男性が住んでいる場合が多く、よく事件等が発生しやすいらしい。
過去の政府の失敗により、政府関係の組織(警察等)を信用していない人が多くいるみたいだ。
そこでこの斧田組が治安維持や消防関連のすべてを担っており、この自治区を守っているらしい。
元々やはりそっち系の組だったので見た目が厳つい人が多いが、本業は治安維持なので政府公認の為、勘違いはしないでほしいとのこと。
「なるほど。この組があるからこの自治区に住んでいる人達は安心して暮らせれるんですね。」
「ご理解いただき感謝いたします。」
「マリアちゃん。私はこの娘等に説教するから氷室君を正輝の部屋に案内してあげて?氷室君、ゆっくりしていってちょうだいね。」
輝美さんの一言に組員さん達が震えだしたのを見ながら俺と正輝とマリアさんは正輝の部屋に向かった。
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