第14話

まぁ あの程度の男に貢ぐなら

女の方は…男以下なんだろう


そんな事を思いつつ

俯いて歩いてきた女へと

視線を向ければ


ふと顔を上げた女とかち合った視線




「えっ?」

ついつい声がもれたのも

致し方無い



そのまま通り過ぎようとする女の腕を…


咄嗟に掴んでいた



「えっ?」

さっきの俺と同じ声をもらしたのは一哉


そしてそれと重なるように

ビクリと身体を震わせた女が発した

「…な ん です か…」



「あっ… いや お前 名前は」

そう聞いた俺に


何度か不思議そうに瞬きをして


「取り立て…の 人 ですか?」

そう返してきた女


回収部隊と間違われるとか

有り得ねぇ そう思ったが

女の視線が


俺の胸元 いや間違った

着ている法被の襟元にあるのを見て納得


確かにこれじゃ

間違われるな


「取立はしてねぇ…けど

借金 幾らあんの?」


「えっ?」

恐る恐る視線をあげていった女と…

再びかち合った視線



あぁこれダメだ


ヤバいやつだ



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