第10話
そんなこんなで迎えた翌日
昼前に一哉に起こされ
いつも通り黒のシャツに黒のスーツで
兄貴の待つ事務所へ
「お疲れ」
「…お疲れ様 です」
「ククッ…相変わらず覇気がねぇ」
そう言って笑う兄貴
「椿さん これが今日の的屋のリストです
夜までにショバ代を集めてきて下さい
着替え用意してありますので
着替えて下さい
夜は外をお願いします」
そう言って着替えをテーブルに並べる
速水さんは兄貴に付いている人で
丁寧な言葉遣いとは裏腹に
見た目も中身もかなり厳つい…
一哉いわく
兄貴がボクシングなら
速水さんは柔道 らしい
因みに兄貴はボクシングはやらねぇ
速水さんの柔道は…知らねぇ
しかし…
「これ…着ないとダメなの」
俺の呟きに苦笑いで頷く兄貴
用意された着替えは
去年散々嫌だと言ったのに
無理矢理着替えさせられた
甚平を上回る…法被
しかも背中には華村會
襟元には華村會 槙野組
「これ着てるだけで
捕まりそうじゃねぇ?」
俺の言葉に
「どんな差別だ」
兄貴はそう言うが
このご時世 無きにしも非ずだろ…
マジで…嫌だ
ヤクザですって宣伝して歩くって
痛すぎねぇか?
一哉を見れば
半笑いで「諦めろ」そう言われた
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます