第2話 薔薇色と比喩表現
ところで、「薔薇色」というと皆さんはどのような色を思い浮かべるでしょうか。
辞書で調べてみると下記のようになっています。分かりやすいように分類してみましたので、よかったらさらっとご確認ください。
◯「うすい紅色」や「淡紅色」と表現している辞書
『明鏡国語辞典 第三版』
『新選国語辞典 第十版』
『旺文社国語辞典 第十二版』
『岩波国語辞典 第八版』
『デジタル大辞泉』
『精選版 日本国語大辞典』
『大辞林4.0』
◯「紫を帯びた桃色」と表現している辞書
『新明解国語辞典 第八版』
◯「こくあざやかなピンク色」と表現している辞書
『三省堂国語辞典 第八版』
◯「薄桃色」「白みがかった赤い色」と表現している辞書
『旺文社 標準国語辞典 第八版』
以上のようになっています。
こうしてみると、微妙な違いはあるものの、全体的に「薔薇色」とは「淡い紅色」のことを指すことが分かりますね。
ちなみに、
JIS規格というのは、「Japanese Industrial Standards」の略称のことで、日本語で言うと「日本産業規格」のことです。もっと詳しく説明すると「鉱工業製品やデータ、サービスの品質統一のために法律で決められた、標準の規格」(『三省堂国語辞典 第八版』より引用)のことです。
つまりJIS規格の中で色の「標準の規格」が決められているということ。
何故、色の「標準の規格」を取り決めしているといえば、色というのは見る人それぞれの感覚によって違うため、言葉を通すと誤って伝えることも多々あるからです。
例えばですけど、「鮮やかな赤」といって皆さんはどんな赤を想像しますか?
人によっては、スポーツカーのような真っ赤な赤もありますし、さくらんぼのような赤もありますし、口紅のような赤だってあるかもしれません。もちろん、他の「鮮やかな赤」もあることでしょう。
そのため、「意図した色をきちんと相手に伝えられる」ように、JIS規格を始め、色についてはさまざまな色彩体系が存在しているのです。JIS規格のほかには、「マンセル色彩体系」や「DICカラーガイド」「パントーン」などが挙げられます。
これらの特徴を簡単に説明すると、「マンセル色彩体系」は専門性が高く、「DICカラーガイド」は日本のものに特化しており、「パントーン」は世界にも通用する基準になっています。よって利用者の用途によって、これらが使い分けられているというわけですね。
ちなみにJIS規格の「薔薇色」は、今作のキャッチコピーに指定しているカラーがそれに近い色をしています。よかったら見てみてくださいませ。(ディスプレイ等の設定によっては、実際の「薔薇色」とは違って見える可能性があるのはご了承ください)
話を「薔薇色」に戻しましょう。
ご存じのようにバラには「淡い紅色」だけではなく、黄色も、白も、とても濃い赤のバラもあります。
それにも
英語圏でも「薔薇色(rosy)」といえば、「ピンク色」を指し「rosy cheeks(健康そうなバラ色の頬)」(『ウィズダム英和辞典 第4版』より引用)などと使われます。
また、日本語にある比喩表現と同じように、英語にも「rosy」を使った比喩表現があるのですが、日本語よりも否定的な表現のほうが多い印象を受けました。
例えば、「You paint a rather rosy picture of your prospects.」という文章は、「君は自分の将来をやや楽観的に思い描いているね」(『新編 英和活用大辞典』より引用)という意味があります。
日本語、英語共に「薔薇色」には、「将来が明るい」「希望や幸福などがある」を象徴するものが含まれていますが、英語のほうはそういう意味で「rosy」を文中にいれつつも否定(しているわけでもないのですが、そういう雰囲気があります)し、「本当にそんな未来があると思う?」というような、現実味のないことに対してマイナスな印象が文章に現れているなと感じました。
ただ、「rosy cheeks(健康そうなバラ色の頬)」と上記にも挙げたように、肌の血色感の表現として使われる「rosy」は、単に「そういう色の肌をしている」という意味でも用いられますが、日本語と同じで良いイメージ(健康的、明るい)で使われることも多いようです。
いかがだったでしょうか。
英語と日本語の中に、似たような比喩表現があるというのは興味深いなと思います。
もしかすると英語からの影響があったり、もしくは他の言語でも似たような表現がありそうですが(フランス語にも「joues roses(バラ色の頬)」という言い方があります)、調べるととめどなくなりそうなので、今回はこの辺りで終わりにいたしましょう(笑)
(続きます)
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