夫婦のきずなの時間-拓未と美美-

第4話

秋の終わり、冷たい風が吹き始める頃。拓未と美美は久しぶりに公園へ出かけることにした。早朝の公園はまだ静かで、人も少ない。広々とした芝生の上に足を踏み入れると、気持ちの良い空気が体を包み込み、二人は自然と歩幅を合わせて歩き始めた。

美美は軽く息を吐きながら、「こんな朝の公園、久しぶりだね。」と呟いた。

拓未は嬉しそうに笑いながら、「ああ、こんな穏やかな時間を持つのも久しぶりだな。」と答える。その言葉には、普段の忙しさから少し解放されているという安堵感が滲んでいた。

公園を散歩していると、遠くの広場で子どもたちの楽しそうな声が響いてきた。遊具で遊ぶ子どもたちの声、笑い声が空に広がっていく。それを聞いた美美はふと足を止め、微笑んだ。

「子どもたち、楽しそうだね。」美美はその声を聞きながら目を細めた。

拓未もその様子を見て、しばらく黙ってから言った。「うん、あんなふうに自由に遊べるっていいよな。どこか懐かしい感じがする。」

美美はその言葉に少し考え込み、そして静かに答えた。「私も、子どもの頃はこんな風に遊んでいたんだろうなと思う。毎日が楽しくて、ただただ目の前のことに夢中になっていた。」

拓未はその言葉にうなずきながら、「そうだな、無邪気に楽しむことって大事だよな。」と答えた。

その瞬間、美美の目にひときわ元気に走り回る子どもたちの姿が映った。小さな男の子がボールを追いかけて走り、女の子がその後ろを追いかける。二人はお互いに笑顔を交わしながら、その姿を見守った。

「見て、あの子たち、すごく楽しそう。」美美が指差しながら言うと、拓未も微笑んで答えた。

「うん、すごく楽しそうだな。あんなふうに、ただ笑って遊ぶことができたら、どんなに幸せだろう。」

その時、ふと美美の心に温かい気持ちが湧いてきた。拓未と一緒にいることが、まるでこの子どもたちのように純粋で無邪気な気持ちを思い出させてくれる。それは、普段の生活に追われて忘れてしまっていた「本当の幸せ」だった。

「拓未、私たちもこうしてもっと一緒に笑って過ごしたいね。」美美はその気持ちを素直に拓未に伝えた。

拓未は少し驚いたように美美を見つめ、その後、ゆっくりと微笑んだ。「もちろんだよ、美美。僕たちが一緒にいる時が、一番幸せな瞬間だよ。」

その言葉を聞いた美美は、胸が温かくなり、自然と笑顔がこぼれた。二人は手をつなぎ、ゆっくりと歩きながら、静かな公園の中でただお互いの存在を感じ合っていた。

歩きながら、美美がふと立ち止まり、拓未を見上げた。「拓未、これからもずっと、こんな時間を一緒に過ごしたい。」

拓未はその言葉を真剣に受け止め、力強く手を握りしめた。「もちろん。これからもずっと、美美と一緒に過ごしていくよ。僕たちの未来は、二人で作り上げていくんだ。」

美美はその言葉に胸がいっぱいになり、拓未を見つめながら、「ありがとう、拓未。あなたがいるから、未来が楽しみでいっぱいだよ。」と微笑んだ。

拓未はその言葉に心から安堵を感じ、嬉しそうに答えた。「僕も、美美と一緒にいることが何よりの幸せだよ。」

その後、二人は公園を後にし、街の方へ歩きながら、日常の中で大切なことを少しずつ取り戻していくことを誓い合った。