【第二部:誘惑と挫折のループ】第二部:誘惑と挫折のループ 第6話:漁師ナイア、誘う前に逆に釣られる(そして、地獄のスパンキング)

第1章:誘惑するはずが…罠だった!?


「ナイアはん、水浴びなぞいかがでありんす?」


アリスは色っぽく扇子を広げ、優雅にしなを作った。計画通りなら、ナイアはんが恥じらいつつも「そんな……」などと言い、やがてふわふわと惑わされるはず──


しかし。


ナイアはすっとアリスを見つめ、小首をかしげる。


「……アリスさんの方が、暑そうに見えますけど?」


「……へ?」


違う違う違う! うちはナイアはんを誘う側! なのに、なんで逆に詰め寄られとるん!?


ナイアは涼しげな顔でアリスのこめかみに指を伸ばし、そっと汗を拭った。


「ほら、こんなに汗をかいて……」


その瞬間、アリスの背筋に電撃が走る。


「ひぃぃぃっ!!」


変な声が出る。だって、こんなに優しく触れられたら……!


「では、こちらへどうぞ♪」


ナイアが手を引くと、アリスの足は勝手に動いてしまう。まるで魚が釣り糸に引かれるように──


(いや、これは違う! これはうちが仕掛けた罠や! うちはまだ誘ってる側でありんす!!)


必死に自分に言い聞かせるが、村人たちは遠巻きに見守りながらクスクス笑っていた。



第2章:まさかの水中大騒動


ナイアに手を引かれ、気づけばアリスは川のほとり。


「さぁ、アリスさん、どうぞお入りなさい」


「……え、うちが?」


アリスの顔がひきつる。違う! これはナイアはんを誘うて、ふわふわと惑わせるつもりが、なんでこうなっとるん!?


「遠慮なさらずに♪」


ナイアが微笑む。


(こ、これは……断りにくい……)


ならば、逆に仕掛けるまで!


「……ほ、ほんなら、ナイアはんもご一緒に?」


アリスは色っぽくウインクし、ナイアの手をそっと握る。これでうまくいけば──


「ええ、もちろん!」


「え?」


次の瞬間、ナイアがアリスの手を引き、勢いよく川へと飛び込んだ!


ザバァァァン!!!


「ぶはっ!! うち、まだ心の準備がぁぁぁ!!!」


完全に想定外。いや、誘ったのはうちやけど!? まさかこんなに素直に飛び込むとは思わなんだ!!


水の中でバシャバシャともがくアリスを、ナイアは涼しげに見つめる。


「ふふ、気持ちいいですね♪」


(いや、ナイアはん……! うちは優雅に水浴びを誘うつもりが、まさかの強制入水とは……!!)


アリスの計画は水の泡となって消え去った──。



第3章:修道院長の裁き、そして地獄のスパンキング


アリスが水浴びから帰ると、修道院の門の前に、冷たい笑みを浮かべた修道院長が立っていた。


「アァァァァァ!!!」


アリス、瞬時に悟る。これは……完全にアウト!!


「おやおや……どこのどなたかと思えば、勝手に水浴びをして、みだらにたわむれていた小娘ではありんせんか」


修道院長の笑みがこわい。いや、こわいを通り越して死刑宣告である。


「ち、違うんどす! これは、ナイアはんに誘われて……!」


「ほぉ? そなたは“水浴びしましょう”と誘ったと聞いておりますが?」


「……アッ!!?」


どこでバレたんどすか!? 誰がチクったんどすか!? 村人の誰かが密告しよった!?


「さぁ、罰を受けなされ……」


修道院長が手を打つと、「地獄のスパンキング椅子」が運ばれてきた。


「ちょ、ちょい待ちぃ! 今日はやめとこ? ね??」


アリス、必死に後ずさるが、修道女たちがしっかりと逃げ道をふさいでいた。


「では、参りましょうか。百発のスパンキングでございます」


「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」


パァン!!!


「ひぃぃぃぃっ!!! いきなり強すぎるどすぅ!!!」


パァン!!! パァン!!!


「んぎゃあああ!!! いてぇぇぇ!!!」


村人たちはまたもやクスクス笑って見守る。もはや恒例行事である。


パァン!!! パァン!!!


「はぅぅ……!!?」


(あれ……? なんや……? お尻が……じんじんして……ちょっと気持ちええ……?)


アリスの表情が変わる。


「……あれ? なんや……? これ……」


パァン!!!


「ふぉぉぉぉぉ!!?」


まさかの快感スイッチが入った。


「こ、これは……まさか……天に昇るような……?」


パァン!!!


「ひゃああああああ!!!!!」


村人たち、ざわつく。修道女たち、ドン引き。修道院長はしばらく無言になったが、すぐに咳払いをした。


「……とにかく、反省なされ」


「は、はい……」


アリスの顔は真っ赤。お尻も真っ赤。そして、心のどこかで「またスパンキングされてもええかもしれへん……」と、ほんの少し思ってしまったのだった──。



第4章:ナイアの笑顔、そして新たな罠


その夜、アリスはベッドにうつ伏せになりながら、ナイアの透き通った瞳を思い出していた。


「……くぅぅぅ……次こそは、ナイアはんを惑わせてみせる……!」


しかし、その計画が次もまた大失敗に終わることは、この時のアリスには知る由もなかった──。

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