第5話 自爆テロ計画
都内に転移すると、相変わらず世界樹の枝が遠目に見えた。異世界の天然記念物を押し付けられた結果がこれだ。富士山は記録からも記憶からも消え去り、あの邪魔な大樹が葉を茂らせている。
俺は気に留めないようにし、先を急いだ。
「しかし、東京都内となると、範囲が広すぎでは?」
アリシアが問うてくる。
「1月23日には新都庁舎の落成式がある。テロリストが狙ってくるとしたらそこだ」
「あえて落成式の日程を賭けの日時に指定したのですね」
「標的を絞りやすいからな」
「あんたたち、まさか……」
エレノアが血の気の引いた顔で呟く。
「この私に爆弾を括り付けて、大量殺人をさせるつもり?」
エレノアはまたしても見当違いなことを言ってきた。未済倉庫の中からでも、ギャンブルの様子は見えるらしい。
「違う。俺は賭けには勝つつもりだが、死人を出すつもりはない」
「じゃあどうやって……」
「【魔力共有】に【意識共有】。エルフの戦士なら誰もが身に着けているスキルだと聞いたんだが。お前も持っているんだろう? エレノア?」
俺が未済倉庫に行ったのは、このスキルが目当てだ。正直、アリシア一人に後れを取るような奴など、戦力に数えてはいない。
「でも、人間には使えないわよ」
そうだろうな。これは鳥などの動物と視覚を共有し、遠方の標的を射抜くのに使われるスキルだしな。
「じゃあ動物でも虫でもいい。操れるな?」
「えぇ。って、まさか!」
「想像の通りだ。鳩かなんかと意識共有し、上空へ飛んでもらう。そして魔力共有で大量の魔力を流し込み自爆させれば、立派な自爆テロだ」
俺が計画を明かすと、エレノアはゴミを見るような目でこちらを見てきた。
「動物とはいえ、そんなことはさせられない!」
「じゃあゴキブリでもいいが」
「ゴキブリなんかと意識共有したくない!」
じゃあどうしろと言うんだ。
「なるほど。しかし、テロの定義からすると、何らかの政治的・宗教的主義主張に基づかなければならないのでは?」
アリシアはエレノアを無視し、核心を突いてきた。
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