第4話 エルフ少女
恐ろしく速い長剣の一閃だ。だが、アリシアが即座に反応し、剣を蹴り飛ばした。
「物騒ですね。剣を振り回す資産が格納されているのですか、ここには」
奥へと退避した襲撃者に向け、アリシアは呑気な言葉をかける。
「返せ! 私の家族を! 故郷を!」
襲撃者は悲痛な叫びを上げた。あまりの絶叫ぶりに気を取られていると、再び急接近していた。
「しつこい」
アリシアの回し蹴りが炸裂し、襲撃者は地を転がった。その姿をよく見ると、耳が長く顔が白い。異世界のエルフの女だとすぐ分かった。
「エルフの里を賭けたことはないんだが?」
国の所有権も賭けの対象ではある。だが、エルフの里を賭けたギャンブルは未だ行われていない。
「お前じゃない。サンサだ。奴が地球の破壊兵器を魔王軍に引き渡した。わざと賭けに負けてな!」
なるほど。その件か。
確かに、俺の前任者、和泉燦砂(いずみさんさ)はそんな賭けをしていたと記録にある。地球上すべての核兵器を賭けて魔王ゼストと対決し、敗北した。結果として地球人類は核廃絶に成功したわけだ。
もっとも、六盟王の関係者以外は知らないことだがな。
「なるほど。魔王が使った核兵器で故郷を焼かれたか」
「そうだ! 全てお前たちのくだらない賭け事の招いた事態! 私は六盟王全員を殺すまで止まらない!」
エルフの女剣士は、そう息巻いて見せるが、見た目はボロボロ。とてもできそうには見えない。
「そうか。実は俺の目的も同じなんだ」
「え?」
「俺は和泉燦砂の後継として、六盟制度を破壊すべくこの座に就いた。俺はあと3回のギャンブルで、確実にこの制度を破壊してみせる」
「命惜しさの戯れ言か!」
エルフは見当外れなことを言ってきた。
「何を言っている?」
俺はできる限り冷酷に言い放つ。
「命乞いをすべきはそっちだと思うが?」
次いで、アリシアの威嚇射撃が地面を抉る。エルフ少女のすぐそばの地面だった。
「くっ、ここは従うほかないようね……」
エルフ少女は悔しげに歯噛みした。
「もともとそうだ。未済倉庫にあるものは、物だろうと人だろうと俺の所有物だ。今後は俺のために働け。それと名は?」
「エレノア・カステルバルゴ」
「ではよろしく。エレノア。共に六盟制度を打破しよう」
納得していなさそうなエレノアを連れ、俺たちは虚空の庭を出た。まずは自爆テロを阻止しなければならない。
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