絵画詐欺に引っかかった黒歴史のその後の話。
逢坂 純(おうさかあつし)
逆さタージマハルの絵画。
僕は大学時代、当時流行っていた絵画詐欺に引っ掛かり、湖面に映る逆さタージマハルの絵を購入しました。
その時の相手の売り言葉は「この絵を買えば、君の目指している脚本家になれるよ」というものでした。
それから二十余年が経ち、僕は今、amazonkindleで小説家をやっています。
脚本家には結局なれませんでした。
いや、もしかしたら僕の小説が映画化されて、その脚本担当を任せてもらえるかも!という儚い望みも今では陽炎の中。
しかし、僕にはその逆さタージマハルの絵を買ったせいで、タージマハルの湖面に浮かぶ逆さタージマハルの世界に迷い込んでいるのではないかという気持ちがあります。
その世界は、現実の世界とまるで同じようですがそのすべてが造り物の世界なのです。
だから、僕が書く小説は僕の日常の一ページとして現実のものとなり、それは小説という創作物ではなく、僕の言動を決める形を変えた日記のようなもののように感じるのです。
それはすべてこの世界が、僕が逆さタージマハルの絵画を買ったことによって、すべてがその湖面に封じ込まれてしまったのだと思うのです。
そこから逃げ出すことも飛び出すこともできません。
もしかしたら、それは次元の違う別世界なのかも知れません。
近年、自殺する芸能人や一般人が後を絶ちません。
それは、自分の住んでいる世界にリアルを感じなくなったせいなのではないかと僕は思っています。
「自殺」という乗り物に乗って、真実の世界へと脱出を試みて、人は新しい世界を求め、自ら死を選ぶのではないかと僕は考えています。
それは20余年という長い歳月、変わらない僕の感覚です。
僕は統合失調症という精神障がいを患っています。
発病からもう20余年が経ちます。
この思いは単に僕が統合失調症だから考える世界なのでしょうか。
それとも20余年前に購入した逆さタージマハルの絵画のせいなのでしょうか。
もうあのタージマハルの絵画の購入明細はどこに在るのか分かりません。
明細があっても、いくらタージマハルの絵画を返品しても、もう世界は変わることはないのだと僕は諦めています。
それは僕が統合失調症ゆえに思う世界なのでしょうか。
それとも、それもこれも全部、僕が統合失調症という精神障がいのために用意された世界なのでしょうか。
逃げ出せない現実、狭いと感じる僕の住む町、そのすべての感覚が僕にこの世界の偽物感を感じさせます。
これは統合失調症を抱えている僕だけの感覚でないように感じるのです。
僕は一体、何者なのでしょうか。
絵画詐欺に引っかかった黒歴史のその後の話。 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808
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