第2話 活字中毒
私は活字が好き。それもスマホで見るんじゃなく、実際に手に取って読みたい派。紙の手触り、温もり、インクの匂い。本に囲まれていると幸福感で満たされる。じゃけど、漫画やアニメはちょっと苦手ってカンジ。漫画は一冊読むのがあっという間でコスパが悪いし、アニメに至ってはほぼ見ない。それが私、棟居蝶。
身の回りの物を全て詰め込んだ、アタッシュケース一つで東京駅を降りる。貯金はあっても行く当てがない。最初にしなければならないのは衣食住の安定。数日ならホテル住まいでもネカフェ難民でも問題ないんじゃけど、私の『反抗』はそれで終わるようなもんじゃない。二度と実家に帰るつもりはないんじゃから。
長旅の疲れを癒したい。じゃけど、ビジネスホテルに泊まるのは何となく気が引ける。そもそもビルが多すぎて、どこがホテルなのか、何をどうすればいいのか、全然分からない。ちっちゃい私の身体が八割隠れてしまうくらい大きなアタッシュケースを引き摺りながら、当て
スマホの電源を入れ、バッテリーに余裕があるのを確認。何も言わず置手紙一つ残して家を飛び出したせいで、親や友達から多数の通知が来ていた。何十件もある親の連絡は全て無視して、友達にだけ返信。東京に来ていると、写真を添付して送っておく。友達を介して親に知られるかも知れないし、友達は話さないかも知れないんじゃけど、どっちでも構わない。東京にいる、という情報だけで居場所を特定される心配はないと思うから。
それから、グーグルマップでネカフェを検索。駅の周辺だけで何軒もある。神田、丸ノ内、新橋・‥聞き覚えのある地名じゃけど、土地勘がなくさっぱり分からない。適当に良さそうな場所を探す。岡山駅前にもあったネカフェと同じ名前を発見、そこにしようと思い、料金表を確認して目玉が飛び出そうになる。故郷の二倍の値段。これじゃったらビジネスホテルに泊まった方が安いんじゃ? そう思って検索してみると、同程度で泊まれるところは空きがなく、桁が一つ増えるホテルに泊まっては貯金があっという間に底を突いてしまう。住居の確保は最優先課題と再認識。今夜は食事、デザート、個室付きネカフェで休むとして、明日は不動産屋を訪問しようと決意。こうして、普段あまり読まない漫画を手に取り、ふかふかのソファーに身を沈めた。
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