第11話

“化け物”








「なに、これ……」



「ああ、それ?わかんないけど、あたしが朝来たときにはもう書かれてたよ。ま、チョークだしすぐ消えるでしょ。七瀬、どうせもう戻ってこないんだし、いいんじゃない?」



「誰、これやったの」



「実織?」



「なんでこんなことするの!」









大声が出た。昨日は出なかったのに。





嫌な手を振り払うときにも、七瀬君を呼び止めるときも出なかった声なのに。






普段教室で大人しくしているわたしが叫んだことは、クラスメイトたちを呆然とさせた。およそ40人分の視線が一気に集中する。






いつもなら、こんなに注目されたら怖くて下を向いてしまうけれど。

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