第10話

頭がガンガンする。思考がぐるぐるまわる。



なんで?



なんで。






「やっとかー。長かったよなー」



「ほんと邪魔だったしね、実際。早く出て行ってくれればいいのに」



「毎日アイツの機嫌伺うの大変だったしよ」






なんで?




両耳に飛び込んでくるクラスメイトの声は残酷で、悲しいものだった。



ぽっかり空いた前の席。いつもそこにある金色は、もうどこにもない。





堪えようのない怒りが湧き上がってくる。ぎゅっと両手を握る。爪が食い込む。痛いけど、七瀬君はきっと、もっと痛い。




わたしは何をしているんだ。七瀬君は、わたしを助けてくれたの

に。









そう思ったとき、視界にはありえないものが目に飛び込んできた。




七瀬君の机。今は持ち主がいないけど、それは確かに七瀬君のもので。

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