第23話 ダンスとチャージ

――闘技場(変な雰囲気)

――アビスのファン、ミリの視点

 

 なぜか余裕のおじさん、ブルーイカリング……何で?

「ウハハハハハ……」


 一方……、

「ぶる……るる……ぅ……ぶるわぁあ!」


 あぁ!ダンシングオークさん、ついに叫び出した!?これは怒っているよッ!


 私には分かる、お母さんも怒るとあんな顔するからね……!


「ぶるあーー!!」


 パチンッ!


 指を鳴らすと同時に!?

 

 ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン……


「な、なにか鳴り始めたよ!リムちゃん!」

「異世界のダンスミュージックという音楽!」

「し、知ってい……」


 私がお決まりのセリフを言い終わる前に、アビス様の解説が炸裂する!さすが!素敵!

「出たーー!ダンシングオークの魔法!ダンシングタイムだぁーーッ!」


 ダンシングオークさんが、リズムを取り始め……お、踊り始めたぁ!?


 あっ!だからかぁ、踊るから……ダンシングオークなんだね!そりゃそうか!……なんだけど。


 この踊りが私の予想を遥かに超えたのです。


 ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン……


 ドスッ!バキッ!ドドンッ!バゴッ!


 パンチ!キック!頭突き!回し蹴り!


 踊りながら連続攻撃してるぅ!すごい!


 素早いステップ!グルグル回転する巨体!

 棍棒とパンチの連続攻撃!


 あれ!私って実況上手い?


 ダンシングオークさんの怒涛の攻撃にブルーイカリングは防戦一方!


「どうしたッ!ブルーイカリング!」


 ドスッ!バキッ!ボスッ!バキッ!


 アビス様の実況の通り、ブルーイカリングはブルーマントで身体を包み、ずっと守りの体勢だ……。


「ウハハ……」


 笑っている場合じゃないよ!おじさん!

 ダンシング攻撃にも隙はあるよ!

 だって、攻撃し過ぎて疲れてきているもん!


 ほら!今!


「ウハハ……」


 笑っている場合じゃないよーー!

 ダンシングオークさん今、休憩しているよ!

 チャンスだよぉ!!チャンス!


 すると!

「ウハハ……観客たちよ、心配は無用だ。これから戦況は動くぞ!私には、先ほどまで、動けない理由があったのだッ」


 おじさんがマントを広げる!?えぇーー!?


 アビス様が解説する、

「マントの中は、子犬だぁーーッ!毛もじゃの子犬だぁーーッ!?」


 あぁ!本当だ!毛もじゃの子犬だ!ブルーイカリングは毛もじゃの子犬を攻撃から守るため、動け無かったんだぁーー!あぁーー優しい!優しいよぉブルーイカリングぅぅ……。


「この毛もじゃの子犬ちゃんは、闘技場に迷い込んだのであろう、戦いに巻き込むわけにはいかない」


「キャウ〜〜ン」


 おじさん……いや、ブルーイカリング!あんたカッコいいよ!


「ウハハ……だが安心せよッ!観客たち!それと子犬!我が力、今こそ極限に至った!」


 ブ、ブルーイカリング……ど、どうした……?


「今こそ開放する!我が刃!テキドナカタサ杉の棒の閃光の一撃をっ!!」


 な、なにが起こるの!?


「ブルゥゥーーイカリングゥゥシュパーーク!」


 ブルーイカリングのテキドナカタサ杉の棒が、まさに閃光の速さで、ダンシングオークを貫いた!


 いや、貫いてはいなかったけれど、それくらいすごい突きだったよ!


 バタンッ!


「勝者!ブルーイカリング!!」


 わぁ、ブルーイカリング勝っちゃた……。


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