第10話 宝箱

――謎のお部屋


「牛乳が飲みたいのです!!」


 私、青柳優作、牛モンスターの筋肉で胴体だけマッチョになってしまった反動なのでしょうか?とにかく牛乳が飲みたい!


 ジタバタジタバタ!


 あぁ、なんでしょうか?この心の昂揚は!?

牛乳が!牛乳が!牛乳が飲みたいのですッ!あぁ、ミルクをっ!


 こんなにも牛乳が飲みたくなったのは、小学校の給食の時間以来です。足りないんですよね、1パックじゃ……。


「あらまッ!あなた!ジタバタしてみっともないですわよッ!牛乳ならば冷蔵庫にありますから、とっととお飲みなさいな!」


「ご親切にどうも……どなた?」


 振り向くと金髪に縦巻きロールのお嬢さんがいます。いつの間に!?


「私のことはまずよろしいのですわ!とっとと冷蔵庫を開けて牛乳を飲みなさいな!もう!」


 うーん、怖い。これが噂の悪役令嬢さんなのでしょうか……いや、しかし、今は心の昂揚に抗えません、ここは、牛乳を優先しましょう。


「……」


「……」


「冷蔵庫ってどこでしょう……?」


「あぁ、あなた新入りですものね、私としたことが……。壺の隣に置かれている赤い箱、それが冷蔵庫ですわよ」


 壺の隣の……え……?

 あれは、確かに箱ではありますが……。


「宝箱?」

「だから冷蔵庫ですわ」


 パカッ


 あぁ、本当に入っています!宝箱に牛乳と……小松菜?がっ!そして、宝箱の中はひんやりしています。なるほど、冷蔵庫ですね!


「……」




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