この作品は、新宿歌舞伎町の煌めく闇と、女子高の清涼な学び舎という対極の世界を舞台に、一人の男の激しい生き様を描き出す異色の物語です。
夜の街で「ホスト四天王」と崇められた影斗(えいと)が、身分を隠して女子校の教師、狭間光莉(ひかり)として新たな人生を歩み出すという設定は、とっても魅力的で、好奇心をそそってきます。
前職で培った人心掌握術を武器にした光莉は、一見チャラいながらも、その言葉の裏には人生の深淵を覗き込んだような説得力を宿しています。
彼の言葉は、清純な女子生徒たちの心に「恋」と「愛」の真理を問いかけ、教育と愛の無償化を目指す独自の教育観で生徒の心を掴んでいきます。
一方、光莉を取り巻く同僚や、養護教諭とのコミカルで時に緊張感のあるやり取りは、物語にユーモラスな彩りを添えています。
ホストとして、教師として、そして一人の人間として、彼が純粋な愛と残酷な現実の間でいかに生き、生徒の心と過去の自分と、どう向き合っていくのか。スリリングなサスペンスと心温まる教育ドラマが融合した、魅力的で中毒性の高い一作です。
是非、この「ホスト先生」の活躍を見届けてください!
才磨女学院は創立百年を超える伝統あるお嬢様校。そんな女子校に着任した新米教師・狭間光莉は、歌舞伎町ナンバー1ホストだった。女子校にやってきた元カリスマホストが思春期の少女たちの悩みを解きほぐす学園青春物語です。
ホスト時代に磨いたゲストをもてなすテクニックで、女生徒の心を開いていく光莉先生の教師像に憧れます。
女子校では肩身の狭い男性教師でありながらも、若くてイケメン、洗練された身嗜み、軽快なトークでたちまち女生徒たちの人気者になっていく。
一見するとチャラ男ですが、ゲストの好みを探るようにクラスの生徒ひとりひとりに気を配っている観察力がすごいんですよ。生徒たちの些細な仕草や言動から、隠れた悩みや本音を見抜いてしまう洞察力に感服してしまいます。
なにより女性に対する誠実さが魅力です。ホストとしてゲストに満足してもらうために全力を尽くすように、生徒に楽しく青春を謳歌してもらうために教師として全力を尽くす。まさに理想の教師。しかし、いくら生徒たちの悩みを解決しても、片思いという新たな悩みを与えてしまいますよね。まったく、罪作りな先生です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)