第三十七話「ナイスガイ、彼女と再会する」
魔王の血統娘を次世代人類勇者にする。
シルバーナさまは上手く行くと言う。
何でと尋ねると、彼女魔王の愛人が生んだ子供で日陰者。
そのうえ、適性があったために天使と悪魔との融合実験の材料にされて魔王に恨みを抱える心優しい少女だそうだ。
「シルバーナ様、何でそんなことわかんだよ」
「貴方の封印の指輪のおかげで彼女は心身双方極めて安定しています。それでこちらの学術集団がコンタクトを取った所、そのように判明しました」
「二週間ぽっちで人の何がわかるってんですかい?」
そう言って俺は剝いてくれたマンゴーをティアちゃんから「あーん」で食べさせらる。
季節外れの輸入マンゴー、、う~ん超美味い。
ティアちゃんの頭を撫でシルバーナ様の返事を待つ俺様。
怪我人の役得って感じ?
「そうですね。記憶と人格を読み取る装置があります。彼女はその装置で調べることを受け入れる代わりに、自分を殺さなかった勇者様に一度会いたいとの事です」
「え~、やだ」
あの子だって超強いんだもん。今の俺じゃ殺されちゃうよ。
そう言ったらシルバーナ様は首を振る。
「貴方の傷と呪いは目覚めた事で急速に自己治癒と浄化が進んでいます。明日にも戦場に立てれるくらい復帰できますよ。貴方の体に宿るのは神のチートですよ?それに未だに彼女は封印の身。全力を出せない以上ただの優しい華奢な娘ですよ」
そう言って太鼓判を押す。
う~んシルバーナ様がそう言うならばそうなのかも?
シルバーナ様は俺に其処まで伝えると壊れた装備の代わりと服を従者に運ばせて部屋に置いて行く。
あざっすっ!
シルバーナ様は政務に戻ってしまった。
残されたティアちゃんはベッドに乗り込み俺のあご下にベストポジションを見つける。
狭くて暖かくて人に近いと安心する幼児の心理。
判ります。
来れもまた変態紳士としてマンダム的夜明けと言えるでしょう。
うむっ!
良きかな。
ティアちゃんはテレビジョンもどきと言うか、人類側の電波放送の子供番組を見始めた。
異世界でも人のやる事だから発想が似通うのかもな、異世界でマンゴーもコーヒーもあるし……おれTV発見でびっくり。
あ、人形劇で勇者様出て来た。
凄い倫理の鬼だ。
立派過ぎて恥ずかしいっ!
なので俺様、ティアちゃんからリモコン借りて別番組を付けるとどこもかしこも緊急放送で魔王が降伏文章に調印されたニュースでいっぱいだ。
つまんね、せっかく異世界の番組のバラエティー見れるかと思ったのに……
21世紀テレビは自由を失いスゲー詰まんなくなったけど異世界なら別の味が出せると思ったのに……
ティアちゃんにリモコンを返却し俺様はベッドに横になった。
窓辺の高所に俺の部屋はありそこから外の景色を見る。
魔軍人類軍双方の飛行機械が無数に飛び交うが戦闘せずにビラをまいていた。
あとで知ったが戦争終結を知らせる号外だった。
俺は邪神討伐戦争から数えて長い長い戦いの果て魔王領中枢にたどり着きそこで戦闘発生しない現状を理解して実感がわいた。
「本当に終戦なんだ」
次の日までティアちゃんと遊んで過ごした。
熱中しすぎて、約束の時間を忘れ悲劇は起きた。
その時の勇者様でも夢中になる遊びはこうである。
ティアちゃんは勲章をたっぷり貰い報奨金で本物の魔道小銃と士官用拳銃をゲットしてノリノリである。
俺は総司令部に立てこもる駄目総司令官の魔王役で彼女は激戦の末、魔王を捕らえる憲兵役を実行。
実際に現場にいたから迫真の演技で舞台をベッドで演じ続けた。
彼女はおもちゃの手錠を出して俺を拘束。
「魔王、貴様には一切の人権が付与されない、人類虐殺、魔族への戦争教唆、戦争犯罪、人道上の罪、国際戦時法複数違反で逮捕する。勇者様がお前の命を取らなかったのは慈悲心ではない、我々に罪を償わせるためだっ!」
そのセリフ聴きながら俺様はじたばた暴れる。
「おのれこっぱ役人メっ!この私を誰だと持っている。魔王であるぞっ!」
ティアちゃんはノリノリで叫ぶ。
「何が魔王だ。貴様は敗れたのだ。いまやただの敗軍の将に過ぎない、、、惨めなものだなっ!こっぱやくにんにあしげにされるまおうとはな、、くく、は~ははははっ」
そう言って小さい体でウリウリと俺の頭を踏む。
体重が軽いうえに素足で力加減してくれているから汚くも痛くもない。
寧ろ、ちっちゃい御見足ぷにぷにである。
日本時代のロリオタであった古き忌まわしい血が目覚めそうだが、俺様父性でやり過ごす。
あ、でっでも笑顔が止まらない。
そんな中、扉がノックされて俺が社会的に死にそうになるっ!
「ちょっと待ってっ!」
と言う前に扉が無情にも開いて行く。
そこにはシルバーナ様と地下で戦った戦乙女、魔王軍所属第二号決戦兵器第三十四系試作型(魔王血族)さんと対面していた。
シルバーナ様は目が死んで無表情でじっと俺を見下ろす。
魔王軍所属第二号決戦兵器第三十四系試作型(魔王血族)さんは「うわっ」と言葉を零して顔をしかめ横を向いた。
そして見つめられる俺様の姿は、言葉で表せば……
「幼女に頭を踏ませ喜んでいる勇者」
控えめに言っても死んだほうが良い光景だねっ!
そうね俺様死にたい。
「あの、勇者様何をしているんですか?」
そう言って容赦ないシルバーナ様に俺は手錠で拘束されたまま凛々しい顔と声で言った。
「捕まった魔王と捕まえた憲兵ごっこですっ」
このプレイ説明で場の空気が死んだまま復活しなかったのは言うまでもない。
とりあえずその後、―――
十分貰い着替える。
愚図るティアちゃんに靴を履かせベッドから降ろし遊びを切り上げた。
こうして俺は鎧と大剣を着込んだフルアーマー勇者として、魔王軍所属第二号決戦兵器第三十四系試作型(魔王血族)さんと対峙した。
え?
別に病院着で良くね?
だから怖いんだよこの子っ!超強いのこの子!
武装してなきゃ怖いんだよっ!
絶対俺より戦闘の才能あるんだから油断絶対駄目、勇者覚えた。
そう言う訳で俺様、魔王軍所属第二号決戦兵器第三十四系試作型(魔王血族)さんと対話を開始した。
次回、―――ナイスガイ幻滅される。
幻滅だと?
ふっ
その程度の物日本社会の引きこもりを見る目に比べればどうと言う事はないっ!
ちょっと二週間風呂入らず昼間から酒飲んで室内で三十万文字書いてただけなのに変質者扱いしやがってっ!
な~にが働けだっ!
俺が幻滅された程度で改心すると思うなよっ!
チャキ、ズキューン!
(作者はイケイケ日本コスモ帝国に逆らった罰で無敵鉄砲に討たれ死亡しました)
未完打ち切りエンドっ!
星一つで俺様の社会的死がちょっとだけ軽くなるかもしれん……
星三つで魔王血族さんが「うわっ」って言わなくなるかもしれん……
星五つで俺様が病院着で再会できるかもしれん……いや、無理かもしれん……でも押してくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます