物言わぬ狐の面に六発分の銃弾を
さて、ここで
彼らは元々小さな組織であり、シマもそんなに大きくなかった。
しかし、ある時不気味な狐の面を全ての組員が付け出してから勢いが変わった。
破竹の勢いで勢力を拡大し、長年この土地に居座ってる三津結組と同じくらいまで膨れ上がった組なのだ。
「さて、それで?オレになんの用で?」
模造刀やモデルガンが並ぶ店内。
そこでベルは店主と会話していた。
「狐牙組の情報収集をお願いしたい。」
「なるほど?オレはいいがその分高くつくぜ?」
店主が吹っかけようとしているのだろう。
言葉が少し強く感じる。
それでもベルは負けじと張り合う。
「構いません。この銃にかけて。」
置かれたのはマグナムリボルバー。
最近ベルの元に来たトリプルロック。
ニューセンチュリーなどとも呼ばれる44口径のマグナムだ。
「いいよ。そこまで言ってもらえれば。」
「すぐ人を試そうとするの悪い所だと思いますけど?」
ベルが銃を懐にしまいつつ雑談を始めた。
流れるようにカードを店主に渡し、店主がそれを読み取る。
「毎度あり。じゃあ四日後かな。ここに来てよ」
「分かりました。お願いします。」
その会話から四日後。
ベルは言われた通り、ホビーショップ「イナズマ」へ足を運んでいた。
そして店の扉を開けた時、悪寒と自分の勘を頼りに扉を閉めて横っ飛びした。
大きな轟音と共に扉は破壊され、扉近くの商品は飛んでいってしまうか壊れてしまった。
「オイオイ?人の店で何してくれてんですか?」
奥から店主であるナルカミが出てくる。
その手には護身用兼相棒の銃が握られていた。
「スターム・ルガー レッドホーク」
という鷹の名前の入ったマグナム。
使い易いとは言えないが彼はずっとこの銃を使っている。
「おうおう?何とか言えや狐共。殺すぞ?」
狐牙組の面々が少したじろいだ気がする。
壁に背中を付けできるだけ狐牙組の男達の射線に入らないように心がけながらナルカミに向かい自分は無関係であることをジェスチャーする。
チラリとベルに目線を送ったナルカミはすぐに狐牙組の男達に目線を戻す。
「覚悟はあんだろうな?人の店荒らしてよォ?」
店内だろうが構わず相棒の銃に火薬を吹かさせる。
八人は居たはずの狐牙組のうち四人は既に倒れてしまった。
「ベルさん。こっちへ今のうちに!」
名前を呼ばれると同時に壁を蹴り出し、ナルカミのいるカウンターへ全速力で走りカウンター内へと飛び移る。
「すいません。僕が尾行に気がついてさえいれば」
見事なガンスピンをしながら弾をリロードしながらベルの謝罪を聞き入れるナルカミ。
「まぁ起きた事は仕方ないです。それより手伝って貰えます?相棒手に入れたんでしょ?」
何も持ってない右手でベルの持っている銃を指さす。
「勿論。やらせて頂きますよ。」
承諾の言葉と共にベルは相棒から煙と爆音を吐き出させる。まだ立っていた狐の面に弾痕のヒビが入る。
それから数分は銃声が鳴り響く。
しかしそれも数分である。
圧倒的な技術を持った二人には勝てる訳がない。
「お疲れ様した」
「いやほんとすいません。」
握手をしながら二人は煤だらけの顔で笑い合う。
しかしこの波乱は幕を開けたばかりである。
全ての始まりは起こった。
本格的な狐の進行はここからである。
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