ガチャガチャお目目に弾痕を
一人のサングラスの男が女を連れてホテルから出てくる。
何やら女の腰に手を回して黒い車に乗る所らしい。
それを見るは和服の女性。
少々離れたビルの最上階。
脚を付けたスナイパーライフルのスコープでそれを見ている。
十字のちょうど真ん中に男の顔が来た時。
腕の震えを最大限抑え、引き金を迷わず引く。
一度スコープから眼を離し、深呼吸をする。
そしてもう一度スコープを覗く。
そこには撃ち抜かれて赤い液体を垂れ流す男の姿。
「任務完了ですね」
ふぅ。と息を吐きスナイパーライフルに付いていた脚を外しケースに丁寧にしまう。
安全装置を付けているかの確認をしたあと立ち去ろうと後ろを向く。
「えっ・・・」
そこには男が立っていた。
それもとてもよく知っている男が。
扉にもたれかかってジト目でこちらを見ていた。
「なぁーに勝手に外に出て始末してるんですかね」
溜息を吐きながらそう話す。
ちょっとだけバツが悪そうに話す。
「いや・・・私が処理したら他の組員も動きやすいかな・・・なんて思って・・・ね?」
「ね?じゃないんですよ。あなた病気なの分かってます?」
はぁ。とずっと溜息を吐いている男、彼は
三津結組のナンバー2にして組長のお着きの人。
そして現在、スナイパーライフルを入れた箱を持ち、和服の姿をしている女性。
彼女は三津結
苗字の示す通り、三代目三津結組の組長。
組織の頭がフラフラと人の始末に向かい、しかもその頭は病気持ち。それがバレてしまっては他の組につけ込まれる可能性もある。
「はやく帰りますから許して?」
「ダメです。」
廻理に諭されるようにビルの下に待機されていた車に乗りこみ、銃を車に乗せた。
「何してるんですか姐御。わざわざ」
運転席から聞こえてくる低めの声と煙の匂い。
そこに居たのは赤髪の男。ベルである。
「返す言葉もないよ・・・てへ」
「てへで済ませられねぇっすよ」
「本当だよ?姐御」
廻理が胸ポケットからシガーケースを取り出し、葉巻を取り出す。
火をつけ、肺に煙を深く入れる。
「廻理君って怒ったりすると凄い深く煙吸うよね」
「誰のせいだ。誰の。」
この三人は組に昔から居る同年代であり。
三代目の三津結組を締める三人である。
子供の頃からずっと一緒で、そして絆も共にある。
ここに実はナルカミも入るのだが、それは三人も知らない話。
何故ならナルカミは自分をひた隠しにしている。
しかしこの三人と共にいた組の子供である。
「さて、お説教は屋敷でするとして。」
「許されなかった」
「諦めましょうよ姐御」
葉巻の灰を灰皿に落とし、廻理が言葉を続ける。
「狐牙組の動きが活発になっているらしい」
廻理が言うには武器や銃弾の仕入れなどが活発になり、素人がみても分かるほどに集めているらしい。
「ナルカミさんにでも情報依頼してみては?」
ベルが運転席からそう言う。
「それも手ではあるなあ」
「とりあえず屋敷着いたので、お説教です」
「やーだーあーー!」
車から引きずられて行った姐御の姿を遠い目をしながら見送ったベルは、またあの武器商人の店に戻るのだった。
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