第2話

彼の部屋は相変わらずムサかった。


ゴミの山というわけでもなく、ごちゃごちゃ散らかっているというわけでもないのだが、なんとなくムサい。


むしろ家具らしい家具も無く閑散として、悲しいほど何も無い間の抜けた空間だ。


変なところ几帳面な彼は、日用品の置き方や整理のし方にヒステリックな程拘ったりする。

掃除だって頻繁にやってる方だと思う。神経症かと思われる位に。          

だから決していわゆる不潔な部屋ではない。


でも兎に角ムサい。

なんか汚らしい空気感が漂っているのだ。


彼の内面から流れ出る汚物と言ったものかもしれない。


私が彼とは友達以上になれない理由もそれだった。



「何じろじろ見てんだよぅ」


「えっ?見てないよ私」


「あぁ違う違う!あのオッサンだよ。ほらあそこあそこ」


彼は玄関を入ってすぐのささやかな流し台とガスコンロ台の間にある隙間を指差した。


「アイツいつも俺を観察してるんだ。」


「監視されてるんじゃない?アンタが信用できなくて。それにしても何処どこに居るっつうのオッサンは…」


「お前本当に見えないの?流し台の縁に座って足ブラブラさせてんじゃん!」


「足ブラブラ?カ・ワ・ユ・イ~!」


「ジャージ着たオヤジだぜ~」


「余計カワイイじゃん!どの位の大きさなの?」


「身長5センチくらい」


「小ちぇ~!

じゃぁ子供だったら1センチとかだよね!っか~、見たいよ~!」


                           

             つづく

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