第13話 公認カップル



 次の日、学校に行くと、昨日以上に騒がしくなっていた。


 「ねえ、生徒会長と副会長って本当に付き合ってるんだって!」


 「やっぱりマジだったの!? すごくない?」


 「生徒会の二人とか、お似合いすぎでしょ!」


 生徒たちの話題は、すっかり私たちのことで持ちきりだった。昨日、私と雄也が正式に「付き合っています」と発表したことで、噂は本物になった。


 「すごいな……こんなに広がるとは思わなかった。」


 雄也が苦笑いしながら、私の隣で歩く。


 「ほんとだよ……こんなに注目されるとは。」


 「まあ、生徒会長と副会長のカップルだからな。」


 私たちが付き合っていることは、学校全体に広まり、"公認カップル" になりつつあった。


 ***


 教室に向かう途中、廊下の端で剣斗と健が話しているのが見えた。


 「……やっぱり、彩花先輩と雄也先輩、付き合ったんですね。」


 剣斗の声には少しだけ寂しさがにじんでいた。


 「まあ……そうなるとは思ってたけどな。」


 健も同じようにため息をつく。


 「ショックじゃない?」


 「そりゃあな。でも、しょうがない。」


 健は腕を組みながら、じっと私と雄也を見つめていた。


 「俺たちが何を言っても、彩花の気持ちは決まってるんだから。」


 「……そうですよね。」


 剣斗は少し肩を落としながらも、最後には「彩花先輩が幸せなら、それでいいです」と微笑んだ。


 ***


 昼休み、私は雄也と一緒に廊下を歩いていた。周りの視線が集まるのを感じる。


 「ねえ、みんな見てるんだけど……。」


 「そりゃ、生徒会長と副会長がイチャイチャしてたら気になるだろ?」


 「え、イチャイチャなんてしてないし!」


 「じゃあ、こういうのは?」


 そう言って、雄也が私の髪をくしゃっと撫でた。


 「ちょ、やめてよ!」


 「彩花がかわいいから、つい。」


 「ばっ……!」


 その瞬間、周りの生徒たちが「キャー!」と騒ぎ始めた。


 「なにあれ、雄也くんカッコよすぎ!」


 「彩花ちゃん、めっちゃ照れてるじゃん!」


 「もう、これは公認カップル確定だね!」


 私の顔は一気に真っ赤になった。


 「雄也!! もう知らない!!」


 逃げるようにその場を去ると、後ろで雄也が「待てって、彩花ー!」と笑っていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る