妖精事件
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「……貴方、妖精事件って知ってる?」
青年は首を傾げた。
「聞いたことがあるな。なんだっただろう」
「昔、鉱山都市のどこかに隠された秘密の花園で、ある写真家が妖精を撮ったの。そしてそれを皆に公開したのよ。妖精は本当にいたって」
「へえ、そうなんだ」
「でも嘘だったのよ」
ゾーイは言った。
「絵本のページの端の、妖精の挿絵を切って、それらしく撮影したの。世間による写真のイメージが悪くなる一つの要因となってしまったのよ」
奇矯なる画家 グレゴリー・ブルックリン 第二章(4/9)より抜粋
(https://kakuyomu.jp/works/16818093090449348304/episodes/16818093090809452573)
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こちらの『妖精事件』、
鉱山都市スーティでは、ウソの写真を撮ったということで、写真家の地位が落ちる一因となった事件です。
妖精が撮られたのは、ゾーイの秘密基地である廃れた礼拝堂。
ただでさえ人口過密な鉱山都市スーティ。
使われていない礼拝堂なんて、さっさと壊して新しい民家でも建てたいですね?
ところがなぜか、今でも取り壊しは進んでいない状況です。
割れたステンドグラスに日光が射すその静かな場所を、ゾーイは気に入っているようです。
さて、この『妖精事件』。
これはそのままの元ネタがあります☝️
◉コティングリー妖精事件(1917~1920)
可愛らしい二人の従姉妹が5枚の写真を撮りました。
その写真に妖精がうつった!と言って騒動になったのです。
果たして本当に妖精なのか? 当時ドイルさんが写真の検証を続け、多重露光やネガに手を加えた形跡がないことを確かめると太鼓判を押しました!
ただ、実際には絵本から切り抜いた妖精を写真に撮る、という単純な方法で作ったニセモノだと、あっさり自白したのです。
な〜んだ、そういうことか!はい解散解散〜!
ところがですね、この逸話にはまだ続きがありまして。
可愛らしい従姉妹たちは確かに写真はニセモノだと告白しました。
その一方で、最後まで主張していたことがありました。
『最後の一枚だけはどうして妖精が写っているのか、わたしたちにもわからない』
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